07.守るということ
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「どうして、私がこの病院にいること、分かったの?」
「……別に…」
「別にって…マンションからそれなりに距離あるのに…」
「……」
「……でも…心配して、来てくれたんだね」
「……」
言いたくない雰囲気を感じたのか、蒼はそれ以上問いただすことはしなかった。
ふっと笑うと、蒼はクロの頭を優しく撫でた。
クロはどこか気持ち良さそうに目を閉じる。
「ありがとうね、クロ」そう言う蒼の優しい笑顔をチラリと見ては、もう一度目を閉じた。
(…多分、言ったって意味わかんねーだろうし…)
蒼自身は気付いていない。
今でも、蒼から溢れる光のオーラが包みこんでいる。
アイツ(リリイ)も、視えてんのか…?と考えたが、その先を考えること自体面倒で思考を止めた。
蒼に、“お前から出てるオーラを辿って来れた”などと言っても、当の本人が視えないようでは言ってもどうしようもない。
かと言って、真昼や御園にも視えているようにはみえない。
何も言わない方が楽だ…結局そのことを理由に、クロは何も言わなかった。
「…そーいやあ、部屋の窓の鍵、開けっ放しだったぞ…?」
「えっ、あれえ?鍵かけたと思ったんだけどな…気を付けるよ」
「はあ〜…病室の窓も、鍵どころか全部開けっ放しだったし…」
「?病室の窓なんて……!」
ハッとした蒼は、窓が開けっ放しだった原因を瞬時に理解した。
いつの間にか返されていたハンカチを持っていた人物、一人しかいない。
だがそれは、ここで発言していいものではないと直感で悟った。
「…ねえクロ、お腹空いてない?売店で何か買ってあげようか」
「…なら、カップ麺買ってくれ」
「でも、お湯ないよ…?」
「…」
真昼が来るまで、外のベンチで朝食を取る蒼とクロ。
もそもそと食べるクロの頭を撫でながら、蒼は買って来たおにぎりを食す。
そして…。
だだだっ
「蒼っ!!」
「あ、おはよう。真昼くん」
「ああ、おはよう。…って違う!! 蒼!ほんとに大丈夫なのか!?今日学校休んだ方が…」
「大丈夫よ!すっかり回復したし、クロもいてくれたし」
ふいっとクロを見ると、朝食は食べ終わり、ごろごろとしている。
「ベンチは心地わりーな…」などとぼやきながら…。
「ってクロ!!お前なあっ、蒼がここにいるって気付いたんなら連絡しろっつーの!」
「はあ?…お前の番号なんて知らねーし、ケータイ持ってねーし」
「お、怒らないであげて?ね?」
「そうだぞ…?せっかくオレが必死の思いでここに来たっつーのに…なんて酷い奴だ…。こんないたいけな猫に…」
「うるせー!!」
「ま、まあまあ…と、とりあえず、学校行こう?」
どうにかその場を落ち着かせ、クロを抱き上げて真昼と共に学校へ向かった。
その間、蒼は話を始めた。
「はああああっっ!!?つ、椿が!?」
「うん。近くに椿さん達がいて、目が覚めるまでいてくれたんだ」
「なっ…つ、椿になんかされなかったか!?」
「うん。…あ」
ドキッ
「な、なんだ!?やっぱり何かされたのか!? 」
「お寿司。お寿司をご馳走になったよ?とっても美味しかったのです!」
「「はあ?」」
ドキドキしながら返答を待った真昼とクロの心配をぶち壊すような発言をする蒼。
どうやら御馳走になったお寿司の事を思い出し、パッと口から出したらしい。
相変わらずのマイペース、いやど天然、警戒心薄っぺらな蒼。
呆れ顔で真昼とクロは「「す、寿司…?」」と繰り返した。
「椿さんね?お稲荷さんが大好きなんだって。それで、ベルキアさんはイクラを美味しそうに食べてくれてね?」
「べルキアって、あの手品師だよな!アイツも…!?」
「うんっ!久しぶり〜って、すごく喜んでくれたよ!」
「っあ、あのな~…」
「はあ~~~~~…… 蒼、お前危機感なさすぎ…」
「そうかな?」
「とにかく!蒼を一人にはできねーな。なるべく一緒にいる事にしよう!」
「へ?だ、大丈夫よ!私部活あるし、待ってもらうなんてそんなの、申し訳ないし」
「そんな事言って、また倒れでもしたらどーすんだよ!そんでもって椿がまたいたら…!!」
「で、でも…危害とか無かったし、逆にご馳走になっちゃって…椿さんなんか、女子トイレなのにわざわざ入ってきて心配してくれたし」
「はああああっ!!?じょ、女子トイレ~~~!!?」
「へ!?ど、どうしたの!?」
爆弾発言。
急なことで大声を上げる真昼に、周りから変な視線が向けられる。
しかもひそひそと何か言われている。
我慢ならなくなった真昼は顔を真っ赤にしながら、蒼の手を引っ張り「い、行くぞ!!」と足早に学校へと急いだ。
「…はあ……向き合えね――――……」