07.守るということ
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─────「桜哉くん」─────
いつしか、蒼の事が好きになってたんだ。
天然で、純粋で、危なっかしくて、いつも優しく笑っている蒼を、好きになってたんだ。
「…ま、人間じゃないオレに…そんな資格あるわけねーけど…」
ふぅ…一息溜息をつくと、桜哉はそこから立ち上がった。
──────────……
こっそりと入り、蒼の寝ている病室の前に辿りついた桜哉。
静かに、音を立てないように中へ入る。
既に消灯時間、部屋の中は真っ暗で、まるでどこまでも続く闇の世界に見えた。
ふとベッドの方を見ると、姿勢良く眠っている蒼が映る。
(…… 蒼…)
中へ進み、眠っている蒼を見た。
まるで永遠に冷めない眠り姫の様に安らかな表情で…すやすやと眠っている。
手を伸ばし、蒼の前髪をさらっと優しく掻き分けた。
…すると。
「ん……」
「っ!」
声が漏れ、まずいと思った桜哉はバッと手を離した。
その場を退散しようと思ったが、蒼の目は開かない。
どうやら寝返りを打っただけのようだ。
ほっとした桜哉、だが蒼からあるものが見え、目をぎょっとさせた。
「な、泣いてる…?」
夢でも見ているのか、涙を流していたのだ。
悲しい夢を見てるのか?…桜哉は心配そうに蒼の頭を優しく撫でた。
その時…。
「……んね…」
「え…?」
「……ごめん、ね……桜哉、くん…」
「っ!!?」
「…気付いて…あげら、れ…なく……て…………ごめ…ん……ごめん、ね……?」
「っ…蒼っ」
夢の中までも、桜哉の事を心配している。
どこまでも優しい蒼の涙が、桜哉の胸をズキンと刺すようだった。
つらい表情を露わにする桜哉は、涙をすくい、蒼に近付く。
「謝るのは、オレの方だ…。ごめんな?蒼……ごめん………ありがとう…」
徐にポケットの中にあった包みを置こうとしたが、それを止めた。
代わりに、手を縛っていた蒼のハンカチを畳み、蒼の制服の上に置いた。
桜哉は直ぐ様窓から出て行き、姿を消した。
蒼と買い物に行った時、ふと目に入ったもの。
蒼に似合うだろうな…思わず買っていた。
次の誕生日にでもあげようか…いや、別に渡したい時に渡してもいいか…そう思いながら、くすぐったい気持ちでそれを手にとって見ていたのを、今でも覚えてる…。
本当なら目の前で直接あげたかったと思い、そこに置くのを躊躇ったのだ。
けど、もう戻れない…という思いを込めて、血がついたままの蒼のハンカチを戻した桜哉。
外に出た桜哉は、背を向けていた病院に振り返り、一言呟いてその場を去った。
「……お休み… 蒼………さよなら… 」
一方その頃…。
「……」
「ん?どうしたクロ」
「……いや…」
少し様子がおかしいクロ。
真昼もクロの様子が違う事に気付き問いかけてみたが、クロは答えなかった。
「そういや蒼、もう帰ってきてんのかな。こっち来なかったけど…」
病院の人と長話でもしてたのかな…。と心の内に思う真昼。
そんな真昼の思いとは裏腹に、クロは別の事を思っていた。
「…オレ、そろそろ寝るわ」
「ん?ああ、お休み」