06.よみがえる幻影
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ガラァッ
「ゴルァッ!!てめーらここ病院だろーが!!他の患者のこと考えろバーカヤロー!!!」
ナース長が現れた。
妙にガタイのいいナース長が…それはもう筋肉ムキムキのナース長が。
そして髪型は、あの国民的アニメに出てくる魚の名前が家族や親戚に集まっている、一人の女性と同じだった。
だがその後ろから先生らしき男性が…。
「いや、アンタが一番うるさいよ」
冷静に的確にはっきりと言うだけ言って去っていく。
「「「「「……す、すいません」」」」」
ガラッと閉めると、みんなどこか涙目になっていた。
「な、なんだあのデカブツは…あんな生き物、初めて見たぞ…」
「なんだよあれェ…あれホントに女ァ?ていうか人間?」
「…困ります」
「進●の巨人の間違いなんじゃないのォ~~?アハハッ☆」
「ふう…恐ろしいねえ……大丈夫?蒼……あれ?蒼?」
蒼の姿が見当たらない。
キョロキョロと辺りを見回すと、カーテンにくるまりぶるぶると隠れていた。
「おーい蒼。もう大丈夫だよ。あの男か女か分かんないデカブツなら、もう行ったから」
「は……ふう…」
そこに既にいないことを確認し、カーテンから出てきた。
スッと座る蒼に、椿は蒼の皿からネタを一つ箸で取って近付けた。
「蒼、ほら。食べよう?」
「……は、はい」
蒼は手を合わせ、目を閉じ「いただきます…」と遠慮がちに言うと、差し出された寿司を口にした。
もぐもぐと食べる蒼、自然と口元が綻んだ。
「どう?美味しい?」
「美味しい…」
そう口から出た言葉。
「そう…良かった♪」椿も、蒼の笑顔と言葉に安心している。
置いていた箸を手に取り、二口目を食べようとして口を広げたが、視線を感じ寿司に向けていた目線を上に上げた。
すると周りの者たちが目を見開き、ジッと蒼を見つめているではないか。
一人、椿を除いては…。
「あ、あの……」
「「「………」」」
「…あ……すみません。皆さんのお食事なのに…」
「い、いえっ!!そういう訳では!!申し訳ありません!!ただあまりにも、聖母・マリアの如く煌めいておりまして、つい目が離せなくなってしまい…!!」
「……困ります…」
「え?」
予想しなかった言葉に、蒼も目を見開き茫然としてしまう。
隣でベルキアが「んもぅ★蒼は可愛いなァ~~!」と抱きつき、すりすりと頬を寄せている。
そんな行動にシャムロックが「ききき貴様ァァ!! 蒼お嬢様に!!ななな、ななぁんという行動を!!?」と怒りを寄せながらも動揺を隠せずにワタワタとしていた。
オトギリも、「……そんなにくっつかれては、困ります…」と文句を言っている。
「お、お嬢様…って…私そんな、お嬢様なんて柄では…」
「何だよォみんなしてさァ~~!ぶーぶー!!」
「いいから離れろ!! 蒼お嬢様に失礼だろう!!ただでさえレディに対してそんな軽々触れるなどと…!」
「だ、大丈夫、大丈夫…ですよ?えっと……えっと?」
「はっ、失礼致しました。私、シャムロックでございます」
「えっと、シャムロックさん?改めまして、私は蒼、夜明蒼と申します。よろしくお願いします」ペコリ
「いえ、わたくしの事はシャムとお呼び下さい」
「あ、はい。えっと…じゃあ、シャムさんで」
「いえいえ!さん付けなど!!どうぞシャムと呼んで下さって構いません!!」
「え……と…シャ、シャ……ムさん…ごめんなさい、私、呼び捨て苦手で…」
「あぁ!も、申し訳ございません!!わたくしとしたことが、蒼お嬢様に気遣う事も出来ずに…!」
「い、いえいえ!そんな気になさらないでください!」
「いいえ!!わたくし如きに蒼お嬢様が謝るなどGONGODODAN!!」
「いえいえ!!私なんかがお嬢様と呼ばれるなど!!ごんごーどーだん!!」
「いいえ!!!」
「いえいえ!!!」
「二人ともくどいよ。それとシャム、言語道断てそれ、分かりにくいよ。あと蒼も、言語の後ろに伸ばし棒入れちゃだめだよ?」
椿の突っ込みで止まる蒼とシャムロック。
困ったように笑う蒼は、そういえば…と思い出す。
蒼は呼び捨てが苦手なのだが、クロに対しては普通に【クロ】と呼んでいる。
なんでだろう…と、ふとそんな事を思った。
チラリと椿を見るが、目が合った椿はただにこっと笑顔を見せるだけで、稲荷寿司をパクンと食べた。