06.よみがえる幻影
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「さ、準備ができましたよ!」
ヒョイ
「ああァ~~~~!!ギリオトめェ~~~~~!!それボクが目ェ付けてた奴!!」
「……つっかかられても、困ります…」
綺麗に並べられた紙皿とお箸、それを手に取り、彩られているお寿司を箸につける。
みんな美味しそうに食べている、そんな光景を蒼はぼうっと見ていた。
勿論その様子の蒼が、寿司に手をつけている筈も無く、パチクリと目を開閉しながら頭は今の現実についていかない。
用意してくれた蒼の紙皿を見て、寿司に全く手をつけていない事に、椿は蒼の名を呼んだ。
「蒼?」
「……へ?」
「お寿司食べないの?もしかして嫌いだった?ちゃんとわさび抜いてもらったんだよ?」
「あっ…い、いえ……好きです」
「そう。なら、沢山食べなよ」
「は、はい。…って、あれ?私、辛いのがダメって、言いましたっけ…?」
「ううん、でも知ってたから」
「……椿さんは、お稲荷さんが好きなんですか?お稲荷さんが沢山ありますけど…」
「つばきゅんはねェ~、回転寿司に行ってもお稲荷さんしか食べないんだよォ~~」
「よっぽど好きなんですね」
そう言った蒼は「あっ」と何かを思いついたように声を漏らした。
蒼の様子に、周りの皆は視線を向ける。
用意してくれていた割り箸をパキンッと綺麗に割った。
別口で用意されていた稲荷寿司を箸で取り、椿の皿に加えてあげようと稲荷寿司を椿の紙皿の近くまで持ってきた。
「どうぞ。好きなんですよね?お稲荷さん」
「……」
蒼の行動と言動に、椿はポカンと蒼を見つめた。
ベルキアも、他のメンバーも呆気にとられたようにポカンとしてその様子を見つめている。
まるで時間が止まったかのような光景、何も反応が無い椿に、蒼はバツが悪そうに苦笑した。
「あ、あはは…やっぱりいらない、かな…?沢山、ありますもんね…」
「!」
蒼の言葉に、椿はにっこりと笑い、口を指で指す。
「?」一瞬分からなかった蒼だが、あっと気付き、差し出していた稲荷寿司に手を宙で添えながらもう少し上に上げた。
そして椿はパクンと口にする。
もぐもぐと食べる椿は、ごくんと呑みこんだ後、「ありがとう」と、優しくふっと笑った。
「あァァ~~~!!つばきゅんずる~~い!!蒼~、ボクにもなんか頂戴っ☆」
「え?あ、えっと…じゃあ……」
「あ!それ!イクラ!イクラ頂戴っ」
「は、はい」
「さっきギリオトに取られちゃったんだよねェ~~」と愚痴るベルキアにまたも苦笑する蒼。
ベルキアの隣からぼそっと「……困ります…」と呟いているオトギリ。
皿に乗っていたイクラを箸で取り、「はい、どうぞ」と蒼は差し出した。
パクンッとにこやかにイクラを食べるベルキアに、蒼は思わずくすっと笑った。
「美味しいですか?」
「うんっ美味しいよォ~~!ていうか、さっきも食べたしねェ~~!」
「そうなんですね」
「わ、若!!稲荷寿司を御所望でしたら、是非私が食べさせてあげます!!はい、あーん」
「いらないよ。蒼から貰ったし、まだあるし。自分で食べれるよ」パクンッ
「そんなご遠慮なさらずにっ」
「ていうか、男にあーんてされるの…はっきり言って気持ち悪いよ」
「ガーン…」
「蒼~~もっとォ~~!」
「ベル、そんな事してたら蒼の分がなくなっちゃうじゃないか」
「あ!ごめんごめん蒼~」
「い、いえ…」
蒼は考えた。
今の状況、ここにいるのは吸血鬼たち。
…いや、それより……だ。
(ここ、病院だよね。こんなにうるさくしてちゃあ…ダメよね…)