05.信じてたもの
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そして、26日――――…
ザアアアアと強い雨が降る。
東高でも、校内放送が流れていた。
《今日はこの後、雨が強くなる恐れがあります。文化祭の準備期間中ですが、早めに下校してください。くり返します―――――…》
既にリュックを背負い、携帯の時間をチェックしていた。
リュックには猫姿のクロがいる。
(“会議”までまだ時間あるなー…どうしよ…)
「真昼くん、時間はまだ大丈夫?」
「んー、全然余裕。蒼はこの後病院に行くんだっけ?」
「うん。暫くは通院してくださいって言われたから…残念…定例会、行きたかったのだけど…」
会議当日の前、有栖院家で負った怪我を診てもらう為、一度病院に行っていた蒼。
診察が終わった後、医者に通院と告げられ、予定が会議当日の日しか空いてなかったのだ。
しぶしぶ蒼は会議を諦め、病院に行く事にした。
「後でお話聞かせてね?」
「おう。…まだ会議まで時間あるし、病院まで送ってこうか?」
「ううん、大丈夫よ。ありがとう」
すると二人の背後から名前を呼ばれる。
「真昼っ、蒼っ」
「え?」
びゃ――――――ん
「すぐ帰んの!?どっか寄ってこーぜっ」
「その浮かれたカッコじゃなければな!!すでに文化祭当日みたいじゃねーか!!」
「張り切ってるねー桜哉くん」
キラッキラな笑顔で登場する桜哉。
頭にうさ耳のカチューシャを着け、いつも着ているストライプのTシャツの上からフリフリのエプロンを着こなしている。
首から【喫茶店 1-6】と書かれた看板を下げながら…。
おまけにマントの様に【1年6組】と書かれた弾幕もはおりながら…。
呆れた表情の真昼、今降っている雨の空気とは裏腹に、ウキウキした気分でいる桜哉に、蒼はくすくすと笑っていた。
「桜哉くんダメよ。そのカッコじゃ、店員さんに笑われちゃうよ?」
「笑われるだけじゃ済まねーだろ、変人扱いで警備の人に捕まるって」
「あははっ、そうかもね」
「マジか!んじゃあ着替えてくっから、ちょっと待ってろよー!」
びゅあっと去っていく桜哉。
まるで嵐のように現れ嵐のように去っていった。
と同時に、蒼は「あっ」と何かを思い出した。
そしてショルダーバッグの中をごそごそと漁った。
「どうした?蒼」と呼びかける真昼、ん~…と、困ったように蒼は唸った。
「文化祭で歌う曲の楽譜、忘れたかも…」
「コーラス部だもんな。合唱?」
「うん。あと、ソロパートの人達で、一人一曲歌うの」
「へぇ~。ソロパートってことは、蒼も歌うのか?」
「そう♪家でも練習しないと…ごめんね?ちょっと見てくるね」
「おう」
蒼は小走りで向かう。
後ろから「おーい!あんま走るなよー!怪我してんだからー!」と真昼が叫んでいた。
怪我の事もあるが、運動が少し…いや、かなり苦手な蒼の事だから、すぐ転んでしまうのではないかと心配しているのだ。
「だいじょーぶだいじょーっわっ…と……うん、大丈夫よ~~~!」
こけそうになったがなんとか体制を整え、後ろにいる真昼に手を振りながら叫び返す蒼。
「前見ろ前!!」
真昼の心配は続く。
「まったく…蒼は」