05.信じてたもの
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バニラ味のアイスを冷凍庫に入れ、ソファーでパソコンの立ち上げを待つ真昼の隣に、ポスンと座り込む蒼。
包帯を受け取った真昼は綺麗に巻いていきながら影を落とした。
蒼に怪我をさせてしまったこと、もっと早く自分が動いていれば…!そんな思いが真昼の中を渦巻いている。
だが悔しい思いなど余所に、蒼は…。
「いっただっきまーす♪」
上機嫌でペロンとアイスの紙蓋をめくった。
「はむっ。ん~~~っ♪美味しい~~~~~♪」
「っほら!動くなっつーのっ」
木のスプーンまで持参、ぱくんと食べる蒼は幸せそうに頬へ手を当てている。
こっちまで気持ちが変わってしまう…やれやれと真昼は困った表情で笑みを零して「ほら、終わったぞ」と金具で包帯の端を止めた。
「ありがとう♪」
「お、おう…」
そんな無邪気な蒼にお礼を言われ、目線を逸らす。
元の姿勢に戻し、ちらりと横目で見る真昼。
どうにも目のやり場に困った。
隣人とは言え男子と女子、しかも蒼は風呂上がり。
ほかほかと漂うシャンプーの香りは鼻をくすぐり、いつもまとめている髪を下ろしている為どこか色っぽい。
ラフな服装も、上はキャミソールにパーカー、下は短パン、白い脚はむき出し。
仲良くなって、時折こうして風呂上がりにアイスを持って来るようになったが、高校に入ってからは毎日のように来ている。
今に始まった事ではないが、真昼からしたら慣れる筈がなく、思わず頬を紅潮させてしまうのだ。
「~~っ…蒼、風邪引くぞ?今日だって怪我しただろ」
「それはそれ♪アイスは別腹♪」
「ったく、脚出して…なのにアイス食うし」
「だって大好きなんだもの~アイス♪お風呂上がりに、こうして誰かの隣で食べれるって、幸せだよね~♪」
「ったく……人の気も知らないで…」
「?…なあに?」
「っ!!な、なんでもないっ!!」
「?…あ、立ち上がったよ。パソコン」
「お、おうっ」
カタカタとパソコンを使い始める。
隣で、蒼はアイスを食べながらそれをじーっと眺めていた。
「何か調べるの?」「さっきリリイに教わったサイト」パソコンにサイトのURLを入力する真昼。
すると後ろから名前を呼ばれた。
「おい、真昼…」
「んー?」
風呂上がりのクロ、頭にタオルを乗っけて手に何かを持っている。
さっき蒼が持ってきたアイスだった。
冷凍庫から見つけて取ってきたらしい。
「フロあがったぞ。…帰ってすぐネットかよ…そういう習慣が引きこもりを生むんだ…」
「引きこもりのお前が言うな!!」
「あ、クロー。お邪魔してるよー」
「おー…ゆっくりしてけー…」
「ここは俺の家だっ」
アイスを食べつつ、ソファーの後ろから身体をだら~~っとさせながら、真昼と蒼の間に割って画面を覗きこむクロ。
「わ~いバニラ味だ~♪」遠慮なしにクロの食べているアイスを一口貰い食べる蒼。
クロは嫌がる素振りも無く、寧ろ蒼に向けてくれている。
「さっきリリイに教わったサイト!吸血鬼がネットで交流してる…お前やんねーの?」
「いいよオレは。リアルが充実してっから」
「してねーだろ!ニート生活のくせにっ」
「え?ニート生活が充実してたから、やらなかったんじゃないの?」
「そーゆーこと。蒼は真昼と違って物分かりいいな」
「えへへ~♪」
「えへへじゃないっ!!ニート生活充実させてどうすんだよ!!」
画面を見れば、色んな下位吸血鬼(サブクラス)の書き込みを見る。
「下位吸血鬼(サブクラス)ってこんなにいるんだ…」と思わず声が漏れた。
「みんな椿達のこと怖がってんじゃん。定例会ってのもっと早くやって対策考えてやれよ…」
「……」
さっきまでアイスでウキウキしていた蒼は、嘘のように静まり返る。
投稿されている内容を見れば、椿の下位吸血鬼(サブクラス)に遭遇しそうになった、危ない等と書かれていた。
木のスプーンを口に加えたまま動かない。