05.信じてたもの
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「蒼…本当に大丈夫か?」
「うん。大丈夫よ御園くん。ありがとうね」
「ッ…フ、フンッ。こんな事になったからな、治ってもらわないと困るだけだっ」
「そうね、治らないと血だらけになってしまうものね」
にこっと笑いながらそう言う蒼に「そういうことじゃないだろ…」とツッコミつつ御園は紅潮する頬を隠すように顔を逸らした。
?を飾す蒼に、クロは「…蒼」と名前を呼んだ。
クロの方に顔を向ける蒼、なぁに?と答えようとする蒼の髪を容赦なくぐしゃぐしゃっと掻き回した。
勿論力を入れず、怪我に影響が無いように…。
ぐしゃぐしゃ
「わわっ。ちょ、ちょっとクロ~!な、なんなの~~っ」
「~~っ…」
「まっ、まあ~~~~っク、クロ~~!スト、ストップ〜〜…!」
「……」
隣で真昼も「何してんだよクロ!」と怒鳴っている。
パッと手を離し、蒼は「う~…」と唸りながらぐしゃぐしゃになった髪を少しずつ解かした。
「おい、蒼…」低い声で呼ぶクロの顔を見上げる蒼。
見上げた瞬間、でこぴんを喰らわせた。
ピンッ
「あうっ」
「……」
顔はまだムスッとしたままだ。
両手で額をさすさすと撫でる蒼をジトリと見つめながら…。
「うう~~痛い…酷いよ〜クロ…」
「前にも言ったろ、無茶すんなって…」
「へ?無茶?なに?」
「あの双子庇って、怪我しただろ。そんなんじゃ、命がいくつあっても足りねーよ…」
「でも庇わないと…柱の下敷きになっちゃってたし」
「蒼もおんなじだろ」
「そう、だけど…」
「……ったく…」
呆れ顔で蒼から離れ、イスに座るクロ。
ジッと見つめる蒼に、近くにいた真昼が声を掛けてくれた。
「大丈夫か?痛みは…」
「大丈夫よ、真昼くん。力は全然入ってなかったから」
「…にしてもクロの奴、何考えて…」
「怒らないであげて。私も、後先考えてなかったし…」
「蒼…」
「ごめんね、真昼くん」
「…うん。無事で良かったよ」
「ありがとう」
会話が落ち着くと、真昼や御園、リリイもイスに座った。
最後に蒼がクロの隣に座ろうとした時、どこか気まずそうにこそっと話し掛ける。
「あの、クロ。ありがと…ごめんね?心配掛けて…」
「……別に」
痛々しい頭の包帯をチラッと見やり、すぐに逸らしては一言返した。
「……痛むか…?」
「ん〜…ちょっとね」
「ちょっとって…」
「ちゃんと病院には行くよ」
「当たり前だろ…」
「えへへ…」
「はあ…」
クロの気遣いで、先程よりかは気まずさはなくなり、緊張感のない笑いが溜め息をつかせた。
二人の会話も落ち着くと、だらっとしながら、クロとリリイは何百年振りか分からない久々のチェスを始める。
蒼は隣でじーっと眺めていた。
──────────……
ばんっ
「なんでそう無駄に偉そうなんだよっ」
「黒猫だから[クロ]…なんてネーミングセンス。知性のカケラもない…僕なら却下だ」
「あ?」
「う…うっせーなシンプルだろ!!お前の[スノウリリイ]こそどうなんだよ!?」
「はい?」
「カッコつけすぎじゃねーか!?逆に変だろっ」
「な…!?」
「まあ、お前ら落ち着け…。ちょっとオレに癒されろ。おらよ」にゃ~~~~~ん
「はぐぁっ!!」ズキュ―――ンッ!!
「癒されるか!!逆にムカつくわ!!つか蒼!なんだよその発声!なんだよズキューンって!!」
「え…真昼くん、可愛いと心臓を撃ち抜かれたような感覚になるじゃない?正にそれが今で…」
「具体的な説明を求めてるんじゃない!」
「ん〜?でも可愛かったし…」
「それは分かったよ!つーかなんか古ぃよ!デフォルメが古い感じする!!」
「失敬な」
なんてやりとりを行っていたが、本題に入るとしよう。
せっかく黒猫姿になって癒そうと思ったクロを、殴る真昼。
「お前…こんないやし系猫を殴るなんて…」眉間にシワを寄せて頭を抱えるクロ。
そんなクロの頭を「よしよし、痛かったね~」となでなでする蒼もいた。