04.アリス・イン・ザ・ガーデン
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左隣に居た真昼は蒼に言おうとした時、先程破片が掠めた左頭部を見て叫ぶ。
蒼の左頬を、血がポタポタと滴り落ちていた。
御園に話しかけた時は、正面と距離があった為あまり見えなかったが…。
自分の頭部を触ってみると、蒼の左手はあっという間に血に染められた。
安堵したことと、怪我に意識を持っていったせいか、ズキズキと痛みが走り出す。
「あ、えと…え、えへへ…。だ、大丈夫…ちょ、ちょっと拭いておけば、治るよ…」
「拭いとくなんてレベルじゃねーだろこれ!!」
真昼の叫ぶ声に、御園もリリイもクロも蒼に近付く。
滴り落ちる血を見て、みんなが血の気を引いた。
燃えるような痛みが頭を走っていても、蒼は傷を手で抑え、無理に笑顔を作った。
だがやはり傷は痛い、ぎこちない笑顔にしかならず…。
「どうしたんだ!?その傷!!」
「だ、大丈夫、大丈夫よ御園くん。大したこと、ないよ?」
「大したことないわけないだろう!!こんなに血が…っ」
「先ほど倒れてきた破片が、落ちて当たったのでしょうか…」
「だ、大丈夫、本当に大丈夫ですよ。ね?リリイさん。っほ、ホントに…」
大丈夫と言い聞かせる蒼。
だがその声は震え、抑えている手からも血は流れてくる。
目も霞んで、真昼たちの顔がぼやけて見えてきた。
クロは覆っていた手を掴み、傷口からどける。
「つっ…!」
強張った表情で蒼は表情を歪ませ、先程無理に作った笑顔は直ぐに消えた。
傷の具合を見たクロは息を呑んだ。
真昼と御園も驚きを隠せない。
「蒼っ…もしかしてこれ、さっき柱が倒れてきた時に…!?」
「だ、大丈夫…大丈夫、だから…真昼くん。だい、じょう…ぶ……だっ………て…」トサッ
「…っ蒼!!」
「蒼!!しっかりしろ!!蒼!!」
血を流し過ぎたせいで、手を退かしたクロの方へ倒れ気を失ってしまう。
受け止めたクロへ、リリイがスッ…としゃがむと、持っていたハンカチを傷口へ抑えた。
そのまま蒼を抱き上げ、「とにかく、手当てをしましょう」と必死な表情で蒼を見つめる。
ピクリとも動かない蒼を、真昼も御園も、双子も、周りの子供たちも、泣きながら心配そうに見守った。
クロはというと、どこか納得いかないようなムッとした表情で見ている。
椿と対峙した時の前科もあり、そして今回も… 蒼は誰かを庇う形で、前回と違って傷を負う結果となってしまった。
無茶ばかりする蒼に、クロは眉間にシワを寄せ、納得いかない表情をしているということだ。
「別室で手当てします」
「…オレも途中まで行く。手、洗わせてくれ…」
血のついた手のひらをパッと見せ、ああ…と納得したリリイは「ご案内します」と促してくれた。
「御園は、隣の部屋で真昼くんたちと待っていて下さい」
「何を言う!僕も行くぞ!」
「俺も!蒼がこんなになって…!」
「御園たちがいても、何もすることはありません。さほど深くはありませんし、息もしています。大丈夫…助かりますよ」
「……」
少し間を空け、御園は「…頼んだぞ」とリリイに任せることにした。
「はい」とだけ返し、別室へ行こうとした時、リリイの服をくいっと掴まれる。
下を見てみると、ユリーとマリーがおどおどした様子で、涙を浮かべながらそこにいた。
「…ユリー、マリー」
「ユリーも行く」
「マリーも行く」
必死な表情で訴えた。
自分たちを庇ってくれたことで、蒼に怪我を負わせてしまった。
その事実に、双子は自分たちのせいだと責任を感じているのだ。
「「蒼に、ごめんなさいって言いたい!」」
「…分かりました」
双子の必死さに心折られ、リリイと双子とクロはその場を離れた。
そんな姿を、真昼らはただただ見守るしかない。
…特に真昼は……。
(…… 蒼…どうして、いつもいつも…)
ぐっと拳を強く握り締めた。