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「…何がしたいんだよお前らは!?関係ない人まで巻き込むのやめろよ…っ」
「そうやって、自分は関係ないと思っている奴がいるのが面白くないんだよ」
すると、蒼の横を何かが通り過ぎるのが見えた。
一瞬の事で何が起こったのか蒼には分からない。
けど分かったのは、クロが隣にいない事。
クロはというと、頭上から椿にかかとを落とされ地面にめり込む。
真昼も蒼も青ざめた。
「特に、君のことだよ?スリーピーアッシュ。
さぁお兄ちゃん、あーそびーましょ―――?」
右の袖から、ず…と黒い刀を取り出す椿。
降りかかる刀から、クロはなんとか交わす。
だが…。
「…ねえ?」
異様な笑みを浮かべる椿の下駄がクロを襲い、左肩を押さえつけ刀の先端はクロの瞳にあとわずかという所で止まった。
冷や汗を流すクロ、笑みを浮かべたまま見下す椿、…あはっとスイッチが入り、椿は壊れたような笑い声を響かせる。
「あっは!!あははははははははっあはっあはははっはははははは、あははははは」
「クロ!!」
蒼の悲痛な声がクロの名を叫ぶ、。
椿の笑い声も蒼の叫ぶ声でピタッと止んだ。
その隙に真昼がバックを振り下ろそうと走ってくる。
だっ
「このっ…クロから離れ…」
「あはははっ」
軽々と避ける椿は真昼の後ろに着地した。
蒼は直ぐ様クロの横にしゃがみ、手を握りしめる。
「クロ…」
そんな蒼の手を持ち、ひょいっと立ち上がらせる椿。
クロの手を離し、されるがままの蒼は、椿の手の動きに身体も左右された。
ぎこちないが、まるでダンスでもしているように…。
「ねえ、城田真昼。今日一番面白かった話をしてよ。
昨日面白かったことは何?
吸血鬼を拾ったことは面白かった?
吸血鬼を殺したことは面白かった?
今も世界で誰かが死んでいることは面白い?
今も世界で誰かが生まれてくることは面白い?
ねえ?」
ひらひらと左右される蒼は、悲しみに覆われているように見える椿を見ていられなくなった。
けれど目が離せない。
何故この人は、こんなにも世界を嫌っているのだろう…。
何故この人は、こんなにも兄弟を嫌っているのだろう…。
そんな問いかけが蒼を包み込んだ。
「あはははははははっは、はははははは、あは、あっははははははっあ―――――なんにも面白くない」
ピタッと止まる椿、蒼も動きを止め、その隙にクロは椿を蹴り上げようとした。
咄嗟に蒼の手を離し交わす椿。
不機嫌そうな表情でクロは言い放つ。
「てめえみてーな弟、心当たりねーよ」
「血がっ…だ、大丈夫?」
「何なんだよめんどくせー…あ―――いてえ。頭われる…は――――――」
「クロ…っ」
起き上がるクロの頭からは血が滴り落ちている。
まるでホラーだ。
それでもクロは平然としながら頭を抑えていて、しゃがむ蒼は龍征から貰ったタオルを出してそっと拭いてあげた。
「クロっ、血ィ飲めよ!!飲めば戦えるんだろ!?この吸血鬼…ほっといたらやばいって。血飲んで戦わないと…」
「!…」
クロの瞳が一瞬沈んだのが見えた蒼。
けれどそれは刹那の如く消え、クロは一言はっきりと口にした。
「嫌だ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「…あれ?言わなかったっけ?オレ今日筋肉痛で全然動けねーよ…?全身ぷるぷるしてんの」
明らかにわざとらしく身体をふるふると震わせ両の手を上げているクロに真昼は「ふざけんな――!!」と肩を持ちごろごろ取っ組み合う。
そんな二人を見ながら、蒼は先程のクロの瞳を思い出す。
沈んだ瞳…そして椿の方を見やると、目がパチンと合い蒼は硬直した。