03.7+1
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─────燃え上がる炎─────
─────人々の恨み─────
─────暗闇から降り積もる白─────
─────黒い外套で身を包む 一人の女性─────
(な、に…?今のは…)
・・・
「じゃ、戦争しよっか。…ねえ、兄さん」
(……椿、さん…。どうして…そんな悲しそうな瞳をしているの…?)
胸の前でぎゅっと拳を握り、ただただ、深い真紅の瞳を見るしか、蒼には出来なかった。
そんな蒼を余所に会話は進む。
「…何言ってるかわかんねーよ!!なんだお前…っ」
そう叫ぶ真昼の後ろへクロは隠れ、背中を押す。
「…人違いですよ…」
「クロ!!隠れんな!!」
「だって…知らねーし…」
「押すな!!」
?を飾しているところを見ると、本当に知らないようだ。
それを聞いた椿は「…あはっ」と笑い始め、蒼は椿を見やる。
「あははははっ!!ひどいひどいなあ!!ははは面白くないっ。“怠惰”も僕を知らないんだ!?サーヴァンプの兄弟全員…結局誰も知らなかった!!」
不気味に強く、笑い声が響く。
頭上を見上げて笑う椿。
ぴたっと止まり、チラリと蒼を見ると、目が合う。
ふっと笑うと、「…それじゃあ」と言葉を続けた。
「…僕は、だ―――れだ…?」
─────ドクン…─────
─────『………あたしは…だあれ…?』─────
「え…?」
大きな鼓動と同時に蒼の頭の中に響いた、椿と同じ言葉…。
酷く悲しそうなその声に、思わず頭を手で抑えた。
後ろにいる蒼の様子を、真昼は知る由もなく。
「…ねぇ。サーヴァンプは何人兄弟か知ってる?」
「えっ?…7人…って聞いたけど…?」
「じゃあ7+1は?」
「は!?」
なんともまあ奇天烈な質問をしてくるのだろう。
「…8…?それが何?」そう返す真昼。
・
「そう、8人。僕は8番目の真祖、“憂鬱”のサーヴァンプ。通り名は“フーイズカミング(招かれざる8番目)”。実は末っ子なんだよ、兄さん?」
「…はち、番目…?」
「…八番目…!?兄…って、クロのほうが年下…に見える…けど…?」
確かに、クロのほうが年下、椿のほうがお兄さんに見える。
多分誰がどう見ても…。
クロは再度真昼の後ろに隠れながら「外見は関係ねーよ」と教えてくれた。
「吸血鬼は老けねーし…あとオレ、ちょっと若く見られるんだよな」
「知らねーよ!!」
どーでもいーと眉間にしわを寄せる真昼を余所に、蒼は聞こえた声のことより、クロの年齢についてもんもんと考え出す。
思わず気になってしまったのだ。
若く見られる?クロが?
なら本当の年齢は?
不老不死…なんだよね…
吸血鬼になってからその年齢のままってことで…
外見的には、真昼くんよりかは上に見えるけど…
でも…大学生…っぽくもない…?
いや待って、実は30代半ばとか…?
いやいや、クロはちょっとって言ってたし
ならやっぱり、20代前半とかかな…?
…あ、20代より前かな…きっとそうに違いない!
……と見せかけて、実は40代だったり!
今年齢の割に若く見える人結構いるもんね!
うん!そうに違いない!!
「…おい、何を考えてるんだ?人の顔見て…」
「ええ、私は騙されません」
「はあ?いきなり敬語…?」
「ズバリ!40歳なのでしょう?」
「はあ??何言ってんだ…?頭でも打ったのか…?」
訳のわからない返答に、クロもなんと返していいか向き合えない。
いや、これは誰もが向き合えないだろう。
「…でもオレは、こいつ見たことねーぞ…?」
すると椿はトンッと飛び上がり跳躍する。
「ねぇ、他のサーヴァンプには会ったかい?」くるりと一回転すると、影は小さく変わり落ちてくるその影、蒼の肩にコンと乗っかった。
大きい尻尾が二つに分かれ、口元・両手足・尾の先が白く全身黒い毛で覆われた動物。
「き、狐…?」
「……そう、僕は狐なんだ」
着地した肩から背中へ。
いきなりのことで肩を上げる蒼。
動物になった椿は蒼の肩の上でくるくると、まるで遊んでいるように回り続けた。
すると動きは止まり、耳の近くでこそっと椿が呟いた。