03.7+1
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「…私は…貴方のこと……知らない…」
・・・・
「っ……うん。そっか、やっぱり今のキミにとっては…“初めまして”になるんだね」
「え?今のって…」
「…分かってはいたけど、やっぱりショックだな…。ねえコレ、捜してたんだ。拾ってくれてありがとう」
「え……あ……」
腕の中にいたベルキアをするりと掴み取る。
空になった腕を、力が抜けたように横に戻した。
じたじた
「は~~ボク肩こっちゃたよォ~。遅いよォつばきゅ~ん」
・・・・・・・・・・・。
「つば…きゅん?」
そのあだ名が皆を唖然とさせた。
クロに至っては白目をむいている。
「でも助かったよォありがと、つばきゅん★あとでダッツおごるよォ~」
「…命助けたお礼がダッツ?」
「うん、アイスの…」
「あはっあはははははははっはははあっは!!はははははは」
「あっ、発動しちゃった…」
「あ―――――――…面白くない」ぽいっ
ベルキアを投げる椿にベルキアは「わァ~~~~~っ」と身体を放り投げだされながらも必死に乞う。
「そんなこと言ってつばきゅんたらァ~。わかった2個!2個おごっちゃうよォ!!」
「僕、抹茶と新作の杏仁味ね♪」
「つばきゅん…新作までチェック済みじゃん…」
そんな二人のやりとりに、真昼は少し呆れたように「まためんどくさそうなのが出てきたなあ…」と呟く。
だが蒼は大好きなアイスという名に反応し、はあはあと息を吐いている。
「?どうした蒼…っえ゙」
「ア、アイス…杏仁味、新作…?わ、私も食べたいっ…に、2個!?いいなぁ……抹茶は苦手、だからっ、私も新作の杏仁味と、大好きなミルクコーヒー味を…はぁ、はぁ…」
「おい落ち着け!アイスが大好きなのは分かるけどっ!さすがに敵に奢ってもらうのはダメだって!」
「ダメ、ダメよ…アイスが…アイスがっ…私を、呼んでるっ……この誘惑には…っ勝てないの…っ」
「呼んでないから!落ち着けって蒼!!~~っあ~もう分かった!!後で俺が買ってやるから!!」
頬を紅潮させ、よだれを垂らしながらふらふらと歩み寄って行こうとする蒼の両肩をがしっと掴み必死に止める真昼。
だが鶴の一声とはこういう事を言うのか、買ってやるという言葉にぐるんと首が振り向き、キラキラと目を輝かせる蒼は「ほ、ほんと…!?」と聞き返した。
「ふ、二つも、買ってくれるの…?」
「いーよ、もう…でも二つだけな?」
「ああっ…!神様女神様真昼様…っ!感謝感激光栄の至り…っ!保冷バッグは常に常備していましてよ!」ズイッ
「女神は違うだろっ。言葉遣いもなんか変…!バッグを顔に押し付けるなって!」
テンションがおかしい蒼を見て「向き合えねー…」と呟くクロ。
なんだこの、アイスに対しての執着心は…そう思う他無かった。
「それにしても…」と真昼は蒼を落ち着かせてもう一度二人を見やる。
「でも…まさか、いきなり…出て来ちゃったんじゃ…?つばきゅん…て」
「おいやめろ、深く考えるな。それより早く逃げる方法を…」
「僕が“椿”だけど、何?」
すかさず真昼の前に移動してきた椿。
その空気は異様で、真昼もクロも表情を強張らせる。
「このケンカの売り手は僕だけど。…何?吸血鬼も人間もとにかくたくさん殺したいのは、僕だけど…。何?」
急にガッと掴まれたクロは「に゙ゃっ?!」と鳴き、真昼の肩から地面へ一気に叩きつける椿。
その衝撃でクロは人間の姿になり、ずだんっと打ちつけられた。
「…僕はとっても憂鬱なんだ」
「?!」
「ねえ“怠惰”のスリーピーアッシュ」
「?!いてえ」
「何か面白い話をしてよ。何もないなら…世界がつまらないってことに異論はないね?」
─────ドクン…─────
「……世界ガ……ツマラナイ…?…セカイ…?」
再び起こる大きな鼓動の揺れ。
けれど、いままでとは違う。
まるで機械のように呟いた蒼の脳裏には、一瞬の背景が浮かんだ。
レンズがズームインするように…。