02.椿
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「龍征っ、首…平気なのかよ!?」
「あ―?平気平気」
「えっでも…あんなに…」
・・・
「あっ…オレがあんなメールしちゃったからだよね。
・・・・
龍ちゃんが交通事故にあったって…ごめんっ」
「…交通事故…?」
真昼は衝撃を受けた。
蒼は、今朝既に話を聞いていた為落ち着いてはいたが、困った表情で真昼を見守る。
「…昨日あったのは事故なんかじゃないだろ!?手品師が襲ってきてっ、そいつが吸血鬼で…!!」
「手品師が吸血鬼ー?もー真昼まで桜哉みたいな変なこと言ってーあはは」
「つーかそもそも、昨日は真昼は一緒じゃなかっただろ。何言ってんだ?」
動きが固まる真昼。
その下では桜哉がふるふると全身を震わせて降参の手を上げていた。
「ちょ…あのっ、真昼さ…はなし…」
「ま、真昼くん?あの、そろそろ桜哉くん離さないと、本当にエビになっちゃうよ?伊勢海老辺りに…」
「あ、あのっさ… 蒼っ……そういうっ問題じゃ…つか、マジで…やば…」
「どうしたんだよ、さっきも蒼が似たような事言ってたし…」
「なんで話が食い違ってるんだろうね」
二人の言葉にハッとし、真昼は蒼を見た。
目が合った蒼は、さっき真昼を見守っていた時と同じ困った表情で小さく頷いた。
お昼休みが終わり、5限目が始まっても、真昼は授業に集中できずに昨日の出来事と、二人の話が違うことに頭を悩ませている。
授業が始まる前、蒼がこそっと教えてくれた。
─────『私、龍征くんの止血をしたの』─────
─────『それしか合ってなくて、それ以外はさっき言われたみたいに…』─────
─────『交通事故にあった事になってるの…』─────
頬杖をついて眉間にしわを寄せながらもんもんと考える真昼を、蒼はただジッと見守るしかなかった。
自分でも考えたが、何も答えなど出なかったのだから…。
すると、どこからか話し声が聞こえた。
「ちょっとォ~、狭いよォ~」
「うるせーな、暴れんなよ…」
「ねェ~お腹すいたァ~」
「めんどくせー奴だなー…」
「おい誰だ、喋ってる奴ー…」
皆が一斉に注目する先は真昼。
冷や汗をかき、引きつった表情で鞄を開けて見れば、クロと手品師の人形。
すかさず真昼は「先生ッ、すげ――頭痛いんで早退しますッ」ぴゃっと逃げるように教室を出て行った。
「えっ、ちょ…城田!?お前さっき来たとこだろ?!」
蒼も真昼を追い掛けようと鞄に急いで教材を仕舞い、ガタンと立ち上がる。
周りの生徒がパッと蒼を見た。
「せ、先生ッ。わ、私も、その…えと、せいっ、ぶ、ブラッディ・デイなので早退しますッ。あいたた~…」
ふらふら~…と同じように教室を出て行く。
「ちょ… 夜明までどうした!?ブラッディ・デイって何だ!」
「あ〜…せんせー、察してあげてくださーい」
「…真昼も蒼も…何か変だね?」
「ストレスか…?お前が原因なんじゃねーの?桜哉」
「え、オレ!?オレが真昼と蒼にそんな負荷を?!」
教室を出た二人。
先に出て行った真昼に追いついた蒼は、二人揃ってしばらく街を歩いていた。
手品師の人形、基いベルキアは蒼が抱いている。
「なんでこれバッグに入ってんだよ…」
「おかしいな、テーブルの上に置いといたのに…」
「お腹すいたァ~、血飲みたいよォ~ねェちょっとだけ~」
蒼を見るベルキア、ふるふると首を振って「ダメですよ、血が吹き出て周りの人驚かせちゃうでしょう?」と真面目に答えた。
「チェ~ケチィ、蒼のケチィ~」とぶー垂れるベルキア。
すかさず真昼は「つーか、そういう問題じゃねーだろ」パシッと突っ込みを入れる。
真昼の肩に乗っかっているクロも、蒼の真面目な表情と真面目な答えにふーと呆れていた。