02.椿
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「…わ、私“色欲”の真祖で、スノウリリイといいます。今貴女が抱えているその黒猫さんと同じ、サーヴァンプですよ」
「しき、よく…?サーヴァンプ?じ、じゃあ、クロと同じ…」
「はい、同じです」
にこりと微笑み返す、スノウリリイと名乗る男性。
「先程はお褒め頂き、光栄です」そう言いながらスススと服を元の位置に戻す。
「あ、あの…」
「はい?」
「寒くないのですか?その、胸元…」
「…ええ、大丈夫ですよ。それより、貴女の方は大丈夫ですか?顔色が悪いです」
「いえ、私は…それより…」
蒼は倒れて意識を失っている真昼の方を見やる。
とても心配そうに見つめる蒼の様子を、リリイは(お優しい方なんですね…)と思いながら見つめていた。
「さっき倒れてしまって…どうしよう」
と困っている蒼。
そんな蒼達を放っておける筈もなく、リリイは手を差し伸べる。
「手を貸しましょう。お一人じゃ大変でしょうし、貴女も具合が悪そうです。ここは私が、ひと肌脱ぎますよ?」
「よ、よろしい、のですか…?」
「勿論♪」
「…あ、ありがとうございます。えと…りょしつ…あ、いえ、失礼しました…えと…ス、スノウ、リリイさん」
「……あはは。リリイで結構ですよ、夜明蒼さん♪」
「え?……どうして私の名前を…」
「ふふっ、聞いていましたから」
「?聞いていました?」
リリイの言葉に理解がおっつかない蒼。
「もしかして…」と始める蒼に、リリイは言葉の続きを待っている。
「超にょう力さしゃんですか!?…者さんですか?」
「………」
思わずポカンと口を開けてしまうリリイ。
さっき、その黒猫さんと同じサーヴァンプだって言いましたよね、私。
そんな気持ちだった…いや、そう突っ込みたい勢いだった。
…そして、またも噛んだ“超能力者”。
さ行が続く為噛んだ。
「ん~……違いますね」
「…違うのですか?」
「はい」
「そうですか…」
「…行きましょうか、早く休ませてあげましょう。立てますか?」
「あ、はい」
リリイの言葉でゆっくりと立ち上がる蒼。
まだ頭がふらふらするも、早く真昼を休ませてあげたいという思いで歩き始めた。
クロも手品師もピクリとも動かない。
背負われている真昼のこともチラリと見るが目を覚ます気配がない。
直ぐに視線を帰路に戻す蒼に、リリイも気付く。
「蒼さん蒼さん」
「へ?」
「ここ、ぎゅーってなってますよ?」
「…あ」
眉間の所に指を指し、シワが寄ってる事を教えるリリイ。
いつの間にか寄せていた眉間のシワ、こしこしと眉間をこする蒼。
最初に交わした言葉といい、反応といい、言葉の噛み続きといい、さっきの超能力者発言といい、この仕草といい、何とも天然で可愛らしい。
そんな思いを胸中に「貴女には、笑顔がお似合いですよ」と微笑んだ。
「大丈夫です。吸血鬼は丈夫ですし、真昼くんもきっと直ぐに目を覚ましますよ」
「…リリイさん…(真昼くんの名前まで…)」
「リリイで結構ですよ?」
「はい、リリイさん」
「……」
呼び捨てで構わないという意味で言ったのにも関わらず、さん付けが離れない蒼。
(まあ、仕方ないですね…)そんな思いを余所に、蒼はリリイを再びじっと見つめた。
視線に気付くリリイは「何でしょうか?」と尋ねてみる。