01.引きこもり吸血鬼
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「…」ジーッ…
「?…なんだよ」
「え?…あ、いえ…なんでも…ない、です…」
「…」ジッ…
ジッと見てくるクロに蒼は首を傾げた。
「私、何かついてます?」自分に指を指し、そんな質問を投げかけてみるが返事はない。
「よいしょっと…」蒼は頭に乗せていたタオルを外し、膝に手を当てて立ち上がった。
そして寝転がるクロの元へそろそと近付き、膝をついてしゃがみ込むと、蒼もジッとクロを見下ろした。
「…あの」
「ん?」
「私は、蒼。夜明蒼です。昨日お邪魔した時に真昼くんが呼んでたから知ってるかもだけど、お隣に住んでます。よろしくお願いします」ペコリ
「…おー……」
「……あの」
「…んー?」
「真昼くんが普通に話しているから、私も敬語じゃなくても…良い、デス、か?」
「(カタコト…)……別に、好きにすれば…」
「わあ…ありがとう♪」
「……」ジーッ…
「ん?何かついてま、いえ…ついてる?」
「…いや、別に……」
クロは、蒼に何かを感じた。
それが何か探し求めるように、先程から目の前に広がる光景の中じーっと見つめてはいるのだが、それが何なのか見付からない。
もー考えるのめんどくせー……と、思考を止め、掃除機の音を防ぐために耳を抑えた。
掃除機の音が嫌いなのかな?と思った矢先に、猫嫌いな親とかがいないか確認した後に自分で「そうじきの音いやだ…」とぼやいていた。
やっぱり嫌なんだ、そう思った蒼は、ふと近くにあった鏡を見た。
(鏡に映ってる姿が違う…猫くんの時の姿だ…)
やっぱり猫くん可愛いなあ♪…そんな風に思っていると、真昼は昔の事を思い出しながら話をした。
ほぼ一人暮らし、叔父さんは出張が多くてほとんど留守。
母親が昔事故で亡くなったこと、行き先が決まらずにいると、今の叔父さんが引き取ってくれたこと。
昔の思い出に浸り、あの頃の自分と今の自分を比べながら…。
蒼も話を聞いて知っている為切なくなり、胸が軋む。
しかし、それを聞いたクロは…。
「あーーーー…だから…こんな汚ぇ猫同乗して拾ったのか。バカだなー、それでこんなめんどくせーことになって…」
「面倒の根源が言うな!!」
その時、カラオケの事を思い出す。
時計を見ればあと20分ちょいで17時。
蒼が「真昼くん真昼くん、カラオケ」と服の端を掴んで時計を指指した。
「あ!みんなと待ち合わせしてたんだった。出かけ…」
「無理無理。離れたらなんかなるし、断れ」
いかにもめんどくさいから行きたくない雰囲気をごろごろしながらかもし出すクロ。
ジトッと睨みつける真昼は「こいつ…」と怒りマークを露わにする。
「出かけるぞ!」がば
「にゃっ?!」
「お前も出かけるぞ」
「やめろー日光が…日光とは向き合えねー…」
「もう日も暮れるし平気だろ!」
ばたばたと慌ただしく部屋を出て行こうとする真昼に、連れだされるクロは「に゙ゃ~~~~~」と鳴き出す。
「あ!私も!」
「ああ!っとその前に…蒼」
「ん?なに?」
「あの洗濯物、自分の部屋に置いてからにしろよ」
「へ?………あ…忘れてた、あははは~」
「ったく、何で持ってきたんだよ!……つーか…下着まであるし…」
「だって、取り込み終わった時に真昼くんの悲鳴が聞こえて、心配で思わずそのまま来てしまったんだもの」
ちょっと恥ずかしそうに口の前で手を合わせる蒼。
「ま、まあとにかく、玄関の前で待ってるから、早く置いてこいよ」
「はーい」
放置してしまった洗濯物を取りに行き、直ぐ様蒼も部屋を出て行く。
「すぐ置いてくるから、待っててね?」
「おう」
蒼は自分の部屋に入り、リビングに洗濯物を置いて、必需品を入れたお出かけ用の小さなショルダーバッグを肩に掛けてすぐ部屋から出てきた。
「おまたせー」と出てきた時に、真昼は何かに反応した様な表情をしていたのだ。
「……?」
「真昼くん?どうかしたの?」
「え?あ、いや…多分気のせい、だと思う」
「?」
訳が分からないまま、とにかく待ち合わせに間に合う様急いで二人は走った。
真昼の部屋の窓が、一人の手品師によって壊されたことなど露知らず…。