09.武器を持つということ
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──────────……
「……ん……っ……ここは…?」
ゆっくりと目を開いた蒼。
視界に映ったのは、見たことない天井だった。
ベッドも自分の部屋のものではない、かといって病院でもない。
「……どこなんだろう…」そう呟くと、隣からぼそっと何かが呟く声が聞こえた。
「気が付いたか…」
「え?」
横を見てみると、路地で助けてくれた紙袋を三つ被ったジェジェがいた。
「貴方は確か…」と、路地での出来事を思い出し、助けてくれた人だとすぐに分かった蒼。
「……ジェジェ…さん?」
「……」
「あ……え、えっと…」
何も反応しないジェジェ。
物静かな人だなあ…と思う反面、青年をドドドと撃ちまくる光景を思い出し…。
いや、そうでもないかも…などと冷や汗を垂らしていた。
すると奥の方から、もう一人声が聞こえた。
「おーいジェジェ、寝ている女の子に手ぇ出そうとするなんて~スケベな奴だなあ、ねーアベルー?」
「(怒)」
ガシャ!
「へっ!?」
構わずドドドドと撃ち放つジェジェだが、当の青年は身軽にかわしながら「こわーい(笑)」などとふざけていた。
少しして銃声は鳴り止み、端っこでぶつぶつと文句を呟いているのを、蒼はあわあわと困惑しながら見守るしかなかった。
そんなジェジェを余所に、青年は「マジになっちゃってえ~やだやだ」と嘲笑うかのように言いながら、蒼の方に向かう。
「大丈夫?起きれる?」
「あ、はい」
すっと身体を起こす蒼。
あれ?と違和感を感じる蒼の様子を、悟ったように青年は「気分はどう?」と問いかけた。
「…身体が、軽いです」
「解熱剤飲んだからでしょー?それにうなされてたしねー。熱あったのに、無理して来るから」
「あ…そっか。……て、あれ?どうして、私に熱があったことを…」
「あの後倒れちゃったんだよ。妙に熱っぽさを感じるなあと思っておでこ触ったら、案の定ってわけ。首の傷も手当しといたよ」
「そ、そうだったんですか…ありがとうございます」
蒼の首には包帯が巻きつけてあった。
ぺこりと頭を下げる蒼に、青年はどこか懐かしそうな顔で蒼の頭を撫でた。
「?…あ、あの」と声を掛け、「あーごめんごめん」と、ごまかすようにぱっと手を離した。
蒼が何を思っているのか分かっているかのように、青年は今いる場所を教える。
「ここはオレが泊まってるホテルの一室だよ」
「え、ホテル?」
「うん。女の子の部屋に勝手に入るなんて出来ないからねー。だからここに連れてくるしかなかったんだ」
「……」
「あー大丈夫大丈夫。明日には、家に返してあげるから」
(……なんだか私、こんなのばっか…)
「そういえばさ、どうやって解熱剤飲めたんだろうねー?」
「え?」
確かに…と感じる。
寝ていた筈なのに…いつの間に飲んだのだろうか。
もんもんと蒼は考え始めた。
夢では何にも感じなかった。
あ、でもあれは夢だものね…現実と夢は影響しない…。
いや、そんなこと誰が決めた?
もしかしたら、薬のせいで桜哉くんの昔のことを…
あ、もしかしたら異様に怒っていた時かも。
ううん、何か違う気がする。
そもそも、解熱剤なんて私持ってなかったし。
どこから現れた?空気?宇宙?時空?
あ!分かった!
トンビよ!トンビがこうヒューって落としたの!
それでたまたま開いた私の口にポーンて…。
いや、こんな都会のど真ん中にトンビ…?
もし仮にそうだとしても、夢に影響なんて……
あ!!
「お~~い、蒼ちゃ~~ん?」
「ハーブティー!!」
「へ?」
「…?」
「あ……」
またも突発的な事を口にする…40代然り。
夢の中で女性が出してくれたハーブティー、これが解熱剤の効果だと信じて疑わない蒼。
だが青年に声を掛けられ、思い出したものを口走り、それに気付く蒼は肩をこませ、顔を赤くして下に俯いた。