ト書き
カンナさんとグルチリ
2024/03/18 14:39氷ポケモン遣いっていうと、古い人間だから赤緑世代のカンナさんがまず思い浮かぶ。カンナさんはLGFRでは四天王引退(だったっけ?)してナナシマに戻ってるらしいからワンチャン取材を申し込んでとかなら、会おうと思えば会えるかも?
ぬいぐるみ好きな一面のあるカンナさんに、パルデア固有の氷タイプのぬいぐるみをお土産にグルーシャ君が対面するエピソードが見たい!ということで書きなぐったト書き ※⚠️キャラ崩壊要注意!
◇◇◇
お泊まりバッグを抱えながらフリッジタウンのグルーシャ君の自宅に行く途中、とある雑貨屋の中で彼の姿を発見したチリちゃん。小走りしていた足を止めて声を掛けようとするけど、グルーシャ君は何かを熱心に品定めをしていて、とても声を掛けられるような雰囲気じゃない
《バリヤードは見た!》ばりに(『家政婦は見た!』のオマージュ)、遠目からグルーシャ君の手元を凝視すると、そこにはデフォルメされた可愛らしい氷タイプのポケモンぬいぐるみが
一瞬自分宛?とも思ったけれど、わざわざ氷タイプの子を渡すとも考えにくい。そもそも、ぬいぐるみを渡されなくてもグルーシャの手持ちの子とは顔見知りで仲が良いと自分は思っているけれど。そうこうしているうちにアルクジラのぬいぐるみを選んで、店員にラッピングまでしてもらっている。明らかに誰かへのプレゼント用だ
(貢ぎ物っちゅーわけか。これは浮気確定やな)
チリちゃんは自分以外の女の影を感じてメラメラ対抗心燃やすのか、しゅんと落ち込んでしまうのか。どっちもおいしい心境でときめくな(どちらに転んでも最終的にパヒエンは決まってる。幸せフェチなので)
一方グルーシャ君は、氷タイプ遣いなら誰しもが知っている第一人者のカンナさんとこれから対談でちょっとテンション上がってる。ラッピングされたぬいぐるみを手に店を出るとチリちゃんからメールが届いてた
──今日は何時に帰れるん?
──これからもう一つ仕事だからまだかかりそう。好きに過ごしてて。
って自分の家で待っててくれるチリちゃんを思い浮かべて、頬が緩むグルーシャ君。メッセージを送信すると、すぐに既読がつき「ふーん」ってネイティオスタンプが送られて来たけど、チリちゃんはおもしろスタンプをよく送りつけてくるから特段気には留めてない
機嫌の良いグルーシャ君がカンナさんと対談する高級ホテルに吸い込まれていく姿を見て、チリちゃんの心中穏やかであるはずがなくて
(これから仕事やと?よくもまぁ、のうのうと嘘つきよって。うちとこれから会うっちゅーのに、その前に他の女とこんなところで逢い引きしとるやないか)
お泊まりバッグを握る手に力がこもる。こそこそ着いていくと、グルーシャ君がとある部屋の扉をノックしている。少ししてから扉が開いたが女の姿は見えないけれど「いらっしゃい。待ってたわ」って妖艶な声が聞こえてきたから、閉じられたドアの前で立ち尽くすチリちゃん
(こらホンマもんやん……)
一縷の望みも絶たれ、この扉の向こうでグルーシャが他の女とよろしくやってるのかと思うといてもたってもいられなくて。頭を過るのは今までのグルーシャとの思い出。出会い、いつしか恋をして二人が同じ気持ちだったことを喜んだ。激務の中、一緒に過ごせる時間が何より楽しみで癒されてきたのに。グルーシャはそうではなかったんだ。自分一人だけが舞い上がってただけだなんて。唇を噛み締めながらドアを開ける。別れは自分から叩きつけてやる
バァァァァァン!!って効果音が鳴るかのように扉を開けて、部屋の中を突き進む。グルーシャは予想と違いベッドの上にはいなかったが、応接ソファに腰掛け先ほど買ったであろうぬいぐるみを対面している女に渡しているところだった
「チリっ!……さ、ん。なんでここに」
「これ、返しに来たわ。もうチリちゃんには要らんもんから。今度はそこの美人さんにあげたれば?」
ずいと差し出したのはグルーシャから貰った部屋の合鍵。何よりも大切にしてきた彼のプライベートへの許しを得た鍵を自ら返す日がこんなに早く来るなんて思ってなかった
「ちょっ!なに出してんの!」
鍵を見られないように掌に戻されるけど。その手を振りほどいてグルーシャの胸に突き付けてやる。このグルーシャの慌てぶり。そんなにこの女にうちらの関係がバレたくないのか
「もうええって。この状況で誤魔化しきくと思てんの?随分とチリちゃんも舐められたもんやなぁ!」
「状況って……これから雑誌の対談なんだけど。カントーリーグ元四天王の氷遣い・カンナさんと」
「た、対談?元四天王?」
(もう一つの仕事ってこれのことかいな!?)
今まで無言だった女がくすくすと笑い出すと、こらえきれないように声を上げ出した。
「あはは!随分とお転婆なお嬢さんがやってきたと思ったらそういうこと。貴女、誤解してるみたいだけど周りをよく見てご覧なさいな」
女に促され周りを見渡すと、呆気にとられた者。興奮している者。写真を撮る者。各々の機材を持ったスタッフ達がこちらを見ていた
「な、はは……。えらいお騒がせしてしもたようで。どうぞお仕事頑張ってくださーい。…………すんませんっしたぁぁぁ!!」
って脱兎のごとく走り去っていくチリちゃん。何がなんだか分からないままの置いてきぼりグルーシャ君
「一体なんだったの……」
「あら、噂の絶対零度君は女心には疎いのね。彼女、浮気してると勘違いしてここまで乗り込んできたのよ」
「浮気って……誰が誰と」
「貴方と、私」
「!!?」
グルーシャ君と自分を綺麗な指で指し示しながら、チリちゃんの勘違いを暴露していくカンナさん
「あのお嬢さん、パルデアの四天王だったかしら? 見た目よりずっと可愛いところがあるじゃない。ねぇ?」
「……そうですね」
って赤くなった顔を隠して項垂れるグルーシャ君と楽しそうにからかいながら、貰ったぬいぐるみを抱き締めるカンナさんに、対談どころじゃなくなった雰囲気。一方特ダネが舞い込んで筆が進む記者
同じように耳まで真っ赤にしたチリちゃんはグルーシャ君の家へと駆け込むとベッドにぼすんとダイブする
「や、や、やってもうたーーー!!」
嫉妬心丸出しの重たい愛を抱えているのも、グルーシャと交際しているのも全てバレてしまった。握ったままの合鍵をそっと枕へ乗せてみる。きっと明日のスポーツ新聞の一面はうちらの熱愛報道だろう。オモダカさんの小言とハッサクさんからの色々な意味での お叫びがリーグに木霊するに違いない
でも、どこが安心している自分もいて。これでグルーシャはうちのもんや、って世間に知らしめることができる。どうやら思っていたより自分は彼への独占欲が強かったみたいだ
とりあえず、まもなく帰宅するであろう彼への詫びを考えよう。きっとマフラーで口元を覆ったまま、こうなった経緯をこんこんと突き詰められるはずだ。そして最後はグルーシャの腕の中で、普段は秘めている 自分の想いを晒け出すことになるのだろう
困惑半分、期待半分といったところか。ベッドから身体を起こすとお泊まりセットを手に浴室へと向かう。どの道、入念に身体を磨きあげておくことに越したことはない。浴室の鏡にはグルーシャと過ごす夜を楽しみにしている女の姿が映っていた──
◇◇◇
毎度のことだけどオチ迷子!誰おま状態のバカップルチリちゃん(グルチリ風味)。いや、ほんと誰これ。チリちゃんのカッコよさはどこへ行ってしもたん……。
ドオーちゃん、穴にめり込んだ私へ土をかけて埋めておくれ✝️
すれ違い・勘違いからの最後は地固まるネタが好きだからワンパタ路線突っ走ってる。この小話はト書きぐらいがちょうどいいテンポなのかも。うだうだ風景描写、構図、心境だって打ち込んでたらテンポ悪そうだし(←それを実力不足と呼ぶ)
あくまで自己満足なまとめだから別にいいんだ!