ト書き
運動会②
2024/05/31 08:11文字数制限に引っ掛かったので分割。運動会後のグルチリ
◇◇◇
片付けを手伝ってくれた祖父母ズを見送り、川の字の真ん中で眠る我が子を夫婦で眺める。
「ふあ~。にしても今日は疲れたなぁ。グルーシャもしんどいやろ。もう寝よか」
「あ。そう言えばひとつチリに言い忘れてた。親子競技で一位になったから、この子にプレゼントあげようと思うんだけどいい?」
「う~ん、あんましご褒美って気が乗らんけど、今回は特別やしね。ええよ、何買うたろか」
「もうリクエスト貰ってるんだ」
「なんや、初めからチリちゃんの意見聞く気ないやん。で、なにが欲しいって?」
ゲーム?
ポケモンカード?
絵本?
それともぬいぐるみ?
「買える物じゃなくて、チリに聞かないと貰えないものだから」
「…………それって、まさか……!」
「そう。弟か妹がほしいっておねだりされちゃってさ。ほら、これはぼくの一存で決めることじゃないし、チリと相談しないとなって」
「相談って、このお行儀悪い手ぇがそれか!」
真ん中にいる子供越しに身体を這ってくる掌を摘まんで止めさせる。
「だめ? この子にきょうだいがいたら、もっと楽しい家になると思うよ」
「そりゃ、うちかてそろそろ次の子おってもええかな思てたけど……」
「じゃあ決まり。今夜からさっそく子作りしよう」
「アホも休み休み言い! 今日は絶対無理やから! あんただって疲れとるんやから、とっとと寝ぇや!」
「大丈夫。疲れなんてすぐに吹っ飛ばしてあげるよ」
のし掛かってきた夫の本気の瞳に射抜かれる。その眼で見られたら本気で拒絶できないことを分かっているからだ。
「……手ぇのかかる父親やこと……」
瞳を閉じて彼からの愛撫に身を任せようとしたら、大きな寝言が二人の世界を割いた。
「こぉらっ! パパ、意地悪しちゃダメっ! ママが嫌がってる……で、しょ……」
「「……………………ぷっ」」
顔を見合わせ笑うと、どっと疲れが押し寄せる。グルーシャも同じようで瞼が閉じ始めた。
「残念やったな」
「今日はお預けにしとくよ……。明日から覚悟、しとくこと……だね……」
完全に眠りの世界に引き込まれたグルーシャの寝顔は隣にいる子供と全く一緒で。こんな可愛い子なら何人いたって愛せるだろう。我が家がもっと騒がしくなるのが今から待ち遠しい。とりあえず実家にこの子を預かってもらえるよう手配するとしよう。
「二人ともお疲れさま。カッコよかったで」
こちらも幸せな疲労感に意識を手放した。どうか家族3人、同じ夢が見れますようにと……。
◇◇◇
自分しか分からない不親切な妄想を垂れ流してしまったけれど、子供を通じてお互いを支え合うグルチリの夫婦像が見たいって欲望だけは詰め込んであるはず。あとデカパンの競技はぴょんぴょん跳ねません。ゴム紐のところ持って普通に走って良い競技です(ずた袋ぴょんぴょん競技とごっちゃになってた)。肝心なところ、間違えてたんだよね……。運動会シーズンだから再掲してみた