ワードパレットまとめ



足取り軽く我が家の玄関扉の前に立つ。ロトムを確認しても彼女からの予定変更のメールは無い。つまりこの扉の向こうには自分の願望が現実となった恋人の姿があるはずだ。小さく深呼吸をし気持ちを落ち着かせてから、ドアチャイムを鳴らすと「開いてまーす」とこちらの緊張とは真逆の気の抜けた声が返ってくる。

 期待を胸に扉を開くと予想していた姿とはかけ離れた、自分のパーカーを羽織った恋人に出迎えられる。細身のチリに対して明らかにオーバーサイズなパーカーをすっぽりと被った姿は非常に可愛い。確かに可愛いが!今じゃないだろう、その格好は!

 明らかに残念がった顔を隠すことも出来ず、余裕の無さを撒き散らしている自覚はある。でも今日一日この瞬間を楽しみに仕事をこなしてきたのに、これはあんまりじゃないか。

「おかえりー!予定より遅かったやん、なんやトラブル?」
「買い物してたから遅くなっただけ……。って、なんでそのカッコなの?朝約束したのは?」
「まぁまぁ、そう焦らんとき。一回やっときたかったことがあんねん。では……こほん。お風呂にする?ご飯にする?それともチ・リ・ちゃん?」

 恭しく一度咳払いをしたかと思うと、パーカーが勢いよく脱ぎ捨てられ、目の前には藍色のデニム生地のエプロンのみを身に纏った彼女が。そのエプロンの下からは艶かしい肢体が伸び、デニムの色と相まって一際白く浮き彫りになっている。

 自分の普段使っているエプロンが、彼女の魅惑的な部分を隠すのみの役割をしていることに眩暈がするほど興奮する。厚手の布が膨らみを強調するかのようにチリの小振りな胸にぴとりと張り付く様にごくりと喉を鳴らしてしまう。

 やばい。思った以上の破壊力で言葉が出てこない。それなのにチリから視線を一ミリも反らせず舐め回すように凝視しているのだから、男の性とはこうも強いものなのか。

「ちょい、グルーシャ。あんたの要望通り裸エプロンしたったんやから、黙っとらんでなんか喋らんかい。流石のチリちゃんかてこれは恥ずいねんで」

 絶句状態の僕に痺れを切らしたチリからのお咎めの声で、夢心地だった世界から現実へと引き戻される。一方のチリは下半身が心許ないのかエプロンを下へ伸ばそうとしているが、伸縮性の乏しい生地故下へ引っ張られると反対に胸元が明るみに晒される。

「……ロトム。連写して」
「カシコマリマシター」
「!?あんた何言って……!」

 とりあえず彼女の貴重な姿を記録しておけば、一人の時や出張先でも大いに役に立つだろう。恥ずかしがって止めさせようとする彼女の回りをロトムがぐるりと飛び交い連写音が鳴り止んだところで、やっとチリを自分の腕の中に閉じ込める。

 二人を阻むものがエプロン一枚のみのお陰で、腕を回せば綺麗な背中は撫で放題で、ぷるんとした尻も鷲掴みできる。チリの艶かしい肢体から漂う色香に酔ってしまいそうだ。腕の中ですっかり固まってしまったチリの耳元で先ほど言えなかった問いの答えを告げてやる。

「答えがチリ一択の問題をわざわざ聞かないの。それじゃ、お許しも出たことだし遠慮なくいただきます」

 まずは布越しにぷくりと立ち上がってきた胸を可愛がるため、エプロンの隙間から手を差し込んで第一ラウンドの幕を自らの手で上げるとしよう。


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