お寝坊さん組のお部屋についた私はフェリちゃんたちを起こしに部屋に入る。

『フェリちゃん、ポルトー！リヒちゃーん！起きてるー？』

私がそう言うとぎぃっとドアを開けて中から小さな女の子が出てくる。色素の薄い金髪をショートカットにし、ディープブルーのリボンをした可愛い女の子、リヒちゃん。リヒちゃんのお家は少し貧しかったみたいでとても仲の良いお兄ちゃんのバッシュ君が居たんだけどバッシュ君は親戚のお家に引き取られ、親戚の家をたらい回しにされるということはすごく苦労するってわかっていたバッシュ君はリヒちゃんをこの孤児院に預けていった。リヒちゃんはお兄様とまた一緒に暮らせる費を待っています、と覚悟を告げ、この孤児院で一緒に暮らしている。とっても健気でしっかり者で優しい私の大事な妹。

「あ、ヒロインお姉さま…おはようございます。」
『おはよ、リヒちゃん。起きてたのね。』
「はい…あの…フェリシアーノさんとポルトさんがまだ起きてくださらなくって…」

リヒちゃんはそう言いつつ申し訳なさそうな表情をしている。全くもう…フェリちゃんはともかくポルトはリヒちゃんよりお兄ちゃんなのに。私はリヒちゃんの頭を撫でて大丈夫だよ、と微笑んで先に食堂に行っててねと告げ、問題児二人を起こしにかかった。

『フェリちゃーん、ポルトー、起きてー。朝だよー。』
「んー…」
「ヴェ…ヒロイン姉ちゃん…Buongiorno…」
『はい、フェリちゃんおはよ。もうみんなご飯に集まってるよ。パジャマ着替えた着替えた！』
「うヴェー…まだねむいよぉ…」

この子はフェリシアーノ。ロヴィことロヴィーノの双子の弟で絵を描くのが上手かったり、歌がとっても上手な可愛い3歳の弟。ロヴィとはあんまり仲良くない…というかロヴィが一方的に意地悪するときがあるんだけどはたから見てれば結構仲良さそうにも見える。ロヴィもフェリちゃんも唯一の肉親のおじいちゃんが亡くなって身寄りがなくなってこの孤児院にやって来たんだ。眠いというフェリちゃんのパジャマを洋服に着替えさせる。フェリちゃんを起こしてからすぐにまた布団にもぐろうとするポルトの布団をはぎ取った。

「んー…ヒロイン…まだ眠とぉよ…」
『起・き・な・さ・い！』
「うー…厳しいなぁ…抱っこー」
『あんたは3歳児か。』

私がズビシッと頭にチョップを食らわせるとポルトはしぶしぶ起き上がった。ポルトたちを連れて食堂へ向かうともうみんなが席に座っていた。

「おはようございます、リヒさん、フェリシアーノ君、ポルト君。」
「おはようさん、菊。」
「おはようございます、菊様。」
「ヴェー、おはよう、菊ー。」
「ヒロインさんもご苦労様でした。さ、朝ごはんにしましょうか。」
『はぁい。』

私たちは各々席についてみんなで手を合わせ、いただきます、と声を合わせた。これが私の大事な家族。