戯作

【擬音語バトン】
~次の擬音語、あなた的になんの音か(または状況、気持ちなど)答えてください。
一言でもよし、長々とでもよし!~









いつもと変わらぬ、都会の喧騒。
わたしはいつも通り営業マンとして、いつも通りの仕事を、いつも通りの冴えない顔でこなす予定だった。










01.『パンッ』
→突如響く、乾いた音。わたしは驚いて足を止めた。通りをゆく人の悲鳴やどよめきがおこり、都会の空気がいっぺんに変わる。「な、何事だ!?」

02.『ザッ…』
→振り返ると武装をした大柄な男が、銃を構えている。銃口からは細い煙が立ち上っているが、銃口の先には虚空があるだけだ。だが、確かに男は何かを狙ったらしかった。

03.『ズズ…ン』
→巨大なものが崩れ落ちるような轟音が、耳と、地面を伝う振動から伝わった。男は、「はやく逃げなさい!」とわたしに対し怒鳴ってから、また虚空と向き合う。

04.『ギリ、』
→虚空から歯ぎしりの音が聞こえる。鳴き声かもしれない。『何か』は、生き物かどうかはわからない。だがとりあえず、活動は止まっていないらしい。

05.『ドドドド…』
→わたしは人の波にもまれながらも、必死で男に食らいついた。途中、「ばかやろう! 死にたいのか!」という罵声も聞こえた。周りの人間には『何か』が、見えているのか?

06.『…っ!?』
→男の腕に赤いものが滲む。攻撃を受けたらしい。「だ、大丈夫ですか! 一体、何があそこにいるんですか」わたしは男に避難するように言ったが、男は聞かなかった。そればかりか、「あれが、見えないだって!?」と、激しく問う。

07.『…ツ、』
→男は片腕をかばいながら、わたしを建物の陰に連れ込んだ。

08.『グチャアッ』
→『何か』は、逃げ遅れた人間や建物や車を巻き込みながら、あたりを見回しているようだ。

09.『ブチ』
→自らの服を割いて傷に巻き付けると、男は語り出した。「本体が見えない人間は希少だ。それらの人間には普通の人間には見えない、奴の弱点が見える。協力してくれ」男は強いまなざしをわたしに向けた。

10.『ピンッ』
→男が人差し指を真上に向け、「いいか」と姿勢を低くする。「今から弱点の特徴を教える。本体とは別の場所にあるから、おれがあいつを足止めしてるあいだにそいつを破壊してくれ」わたしは手榴弾を手渡された。

11.『ぷちぷち』
→弱点の近くまで走り寄り、ジャケットを脱ぎ捨てる。怪物が見えないというのも、恐怖は相当だった。

12.『ポンッ』
→わたしはその弱点に向かって手榴弾を力いっぱい投げた。

13.『てててっ』
→投げた直後、わたしは急いでその場を離れた。

14.『ガシャーン』
→ごく近いビルの、何枚かの硝子を割って、手榴弾が弾ける。

15.『ピシッ』
→手榴弾は怪物の弱点に命中した。コアのようなものに罅が入る。

16.『ずーん』
→怪物がその場に倒れる。

17.『ずもももも…』
→姿の見えない怪物が苦しんで悶えている。

18.『ギシッ』
→虚空で何かが軋んだあと、ものすごい地響きで立っていられなくなる。衝撃で、あたりの物は吹き飛んだ。わたしは男と一緒に建物の陰に隠れる。

19.『キラキラキラ~』
→硝子やコンクリートの破片が細かく砕け散る。

20.『スパッ』
→わたしが男に素性を訪ねようとすると、男はそれを遮った。

21.『ピラッ』
→男が差し出した紙には、彼の身分を証明する文字がつらつらと書かれていた。だが文字のほとんどは彼自身の血か何かで汚れて、「国家……特殊……」くらいしかわからなかった。だがそれだけでも、恐れ入るには十分な威力だ。

22.『HAHAHAHAHA!』
→男はけたたましく笑い、わたしの背を叩いて何度も称賛した。









こうしてわたしは、普通の営業マンから、戦う営業マンとなった。






●この「擬音語バトン」は、フォレストのユーザー「@にぃ」さんが作成したものを拝借しました。@にぃさん、ありがとうございます。


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