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ある日、就職を希望してロドスの本艦を訪ねてきたナマエは、鉱石病も面接の予約もなかったため穏便に追い返されるところだったが、そこに現れたリィンと親しげに挨拶を交わしたことから、その日に面接を受けることになった。
ナマエは歳との関係を聞かれるままに話し、在職する代理人たちに確認が取れると、そのまま採用された。
ナマエができると答えた仕事は基本的な事務作業だけだが、ナマエが何の意思によってここにいるのか、そもそもその存在事由が定かではないことから、監視のための採用でもある。
「たしかに、私は何のために生まれたのか……未だお答えできかねます」
でも机仕事は得意ですからと、ナマエは手際よく仕事を片づけていく。仕事ぶりだけでなく普段の振る舞いもそこらにいそうな柔和な事務員にしか見えないが、ナマエは歳の代理人と顔見知りで、ときたま土産を持って談笑しにくる、人にとっての親戚のおじさんのような存在だそうだ。出会ったときから容姿は変わらず、生まれたときに今朝と同じ声音で挨拶をされたと代理人たちは言う。
「あなたは代理人ではないのか……」
「私はただの野次馬です」
「ふぅん……」
「さすがに、適当すぎましたか?」
「いいや、私も自分が何かと問われても、考え事をしているだけとしか答えられないなと」
「ご謙遜を」
「同じことを思ったよ」
あら、とナマエは笑う。歳の代理人には兄妹の絆があるし、ナマエの出自は不明だが、ナマエにも親族のような絆が見えた。
ロドス本艦は広く、人通りの少ない廊下も多くある。空調の音だけが響く廊下を一人で歩いていたドクターは、ナマエを壁に追い込んでいるリィンと、股座に太腿を割り入れられて困り果てているナマエに出会した。
「な、何を?」
ナマエと目が合って、ドクターは簡素に問うた。答えずに挨拶をするリィンはいつものように微笑んでいて、ナマエは困ったようすで眉根を下げて笑う。
「戯れです。ね、リィンさん。ここまでに……」
リィンはしかたないねと離れて、悠々と去っていった。その場にドクターとナマエだけが残される。
「口を挟んでしまったが、そういう関係が……?」
「い、いいえぇ、皆さん大切な友人ですから」
ナマエが入職してからよく秘書を任せているが、動揺して繕うところを初めて見た。だがドクターはリィンとの関係のほうが気になって、その場では大した感動を抱かなかった。
ナマエは歳との関係を聞かれるままに話し、在職する代理人たちに確認が取れると、そのまま採用された。
ナマエができると答えた仕事は基本的な事務作業だけだが、ナマエが何の意思によってここにいるのか、そもそもその存在事由が定かではないことから、監視のための採用でもある。
「たしかに、私は何のために生まれたのか……未だお答えできかねます」
でも机仕事は得意ですからと、ナマエは手際よく仕事を片づけていく。仕事ぶりだけでなく普段の振る舞いもそこらにいそうな柔和な事務員にしか見えないが、ナマエは歳の代理人と顔見知りで、ときたま土産を持って談笑しにくる、人にとっての親戚のおじさんのような存在だそうだ。出会ったときから容姿は変わらず、生まれたときに今朝と同じ声音で挨拶をされたと代理人たちは言う。
「あなたは代理人ではないのか……」
「私はただの野次馬です」
「ふぅん……」
「さすがに、適当すぎましたか?」
「いいや、私も自分が何かと問われても、考え事をしているだけとしか答えられないなと」
「ご謙遜を」
「同じことを思ったよ」
あら、とナマエは笑う。歳の代理人には兄妹の絆があるし、ナマエの出自は不明だが、ナマエにも親族のような絆が見えた。
ロドス本艦は広く、人通りの少ない廊下も多くある。空調の音だけが響く廊下を一人で歩いていたドクターは、ナマエを壁に追い込んでいるリィンと、股座に太腿を割り入れられて困り果てているナマエに出会した。
「な、何を?」
ナマエと目が合って、ドクターは簡素に問うた。答えずに挨拶をするリィンはいつものように微笑んでいて、ナマエは困ったようすで眉根を下げて笑う。
「戯れです。ね、リィンさん。ここまでに……」
リィンはしかたないねと離れて、悠々と去っていった。その場にドクターとナマエだけが残される。
「口を挟んでしまったが、そういう関係が……?」
「い、いいえぇ、皆さん大切な友人ですから」
ナマエが入職してからよく秘書を任せているが、動揺して繕うところを初めて見た。だがドクターはリィンとの関係のほうが気になって、その場では大した感動を抱かなかった。