龍
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ナマエの父親はクズだ。
以前蒼天堀で人目も憚らずまともな金を持ってこないナマエを罵って極道そのものを侮辱してから、少し離れた場にいた獅子堂のことを不意に見つけたときの目付きの卑しさ。父親は顔を青くしてそそくさと立ち去った。そういうことがあって、その場で獅子堂に頭を下げるナマエにも腹が立った。
「あんなクズは切れ」
ナマエははいと返事をした。それからどうなったかは知らない。
「闘技場で戦いたい?」
ナマエが思い詰めた顔で獅子堂に伺いを立てた。
闘技場の記憶を語るほどの関係はないが、どんな闘いの場であるかは知っているはずだ。
「父が病気で」
「は? テメェ、まだ連絡取ってんのか?」
ナマエは萎縮して縮こまった。
「すみません。連絡はずっと無視してたんですけど、病気がわかったとかで、もう死ぬそうで!」
「あのクズの言うことやろうが。ヤクザがカモにされてどうすんねん」
「や……痩せてたんです」
「で」
「闘技場で治療費を……」
呆れた。ナマエが漏らしていなければそこらの親父が闘技場の仔細など知りえないし、できるものではないと突っぱねればいい。そうしろと言われたわけではなくて、自ら献身すると言っているのだ。
「勝手にしろ、馬鹿野郎。せいぜい会長を楽しませて死ね」
「ありがとうございますっ」
ナマエは深く頭を下げた。
そうしてナマエは、渡瀬組がイベンターを担当するときに出場者として参加することになった。イベンターの期間が終われば外に出られるし、立場としては主催側だから、ある程度いつでも辞められる。それでも死闘は変わらないのに、ナマエは治療費とやらのために闘い続けている。もう死ななければ治らないのだと思った。
「……父を、キャッスルに連れてきたいのですが、よろしいでしょうか」
ナマエがあらためて思い詰めた顔をして獅子堂の前に立った。
「は? ええわけないやろ」
「あ、あのう、親父……病気は自分で言うてただけで、痩せてたのは夏バテか何かやったんです」
「だろうな馬鹿。それで」
「やっと目が覚めました。父にはここで好きにさせて、あとはキャッスルの采配に任せたいんです」
ナマエはやっと父親を見限る気になったらしい。元々金のない者は一瞬で沈む。外でどちらも生きながらえているよりもはっきりとした決別になるかもしれない。
「そんなわがまま言うて、奴隷になったあとでなしにはできんし、どっちにしろお前の保証じゃ、もう船からは降ろされんで」
「はい。親父はもう病気で死にました。最初からいなかったんだと思っています」
闘技場で心身ともにやつれたナマエの表情だけを見ると覚悟が伝わってくるようだ。死闘を経て得たものが詐病の父親だったのだから、死なずとも治ったのかもしれない。
獅子堂はこの関連の出来事で、ようやくナマエを殴った。拳が重く肩にぶつかる。ナマエは呻きを漏らして肩を押さえようとしたが、それを控えて手を腿の横に戻す。
「そう言うてやってたのに、今更自分で悟ったみてぇに言いやがって」
「も、申し訳ありませんっ」
ナマエは深く頭を下げた。
以前蒼天堀で人目も憚らずまともな金を持ってこないナマエを罵って極道そのものを侮辱してから、少し離れた場にいた獅子堂のことを不意に見つけたときの目付きの卑しさ。父親は顔を青くしてそそくさと立ち去った。そういうことがあって、その場で獅子堂に頭を下げるナマエにも腹が立った。
「あんなクズは切れ」
ナマエははいと返事をした。それからどうなったかは知らない。
「闘技場で戦いたい?」
ナマエが思い詰めた顔で獅子堂に伺いを立てた。
闘技場の記憶を語るほどの関係はないが、どんな闘いの場であるかは知っているはずだ。
「父が病気で」
「は? テメェ、まだ連絡取ってんのか?」
ナマエは萎縮して縮こまった。
「すみません。連絡はずっと無視してたんですけど、病気がわかったとかで、もう死ぬそうで!」
「あのクズの言うことやろうが。ヤクザがカモにされてどうすんねん」
「や……痩せてたんです」
「で」
「闘技場で治療費を……」
呆れた。ナマエが漏らしていなければそこらの親父が闘技場の仔細など知りえないし、できるものではないと突っぱねればいい。そうしろと言われたわけではなくて、自ら献身すると言っているのだ。
「勝手にしろ、馬鹿野郎。せいぜい会長を楽しませて死ね」
「ありがとうございますっ」
ナマエは深く頭を下げた。
そうしてナマエは、渡瀬組がイベンターを担当するときに出場者として参加することになった。イベンターの期間が終われば外に出られるし、立場としては主催側だから、ある程度いつでも辞められる。それでも死闘は変わらないのに、ナマエは治療費とやらのために闘い続けている。もう死ななければ治らないのだと思った。
「……父を、キャッスルに連れてきたいのですが、よろしいでしょうか」
ナマエがあらためて思い詰めた顔をして獅子堂の前に立った。
「は? ええわけないやろ」
「あ、あのう、親父……病気は自分で言うてただけで、痩せてたのは夏バテか何かやったんです」
「だろうな馬鹿。それで」
「やっと目が覚めました。父にはここで好きにさせて、あとはキャッスルの采配に任せたいんです」
ナマエはやっと父親を見限る気になったらしい。元々金のない者は一瞬で沈む。外でどちらも生きながらえているよりもはっきりとした決別になるかもしれない。
「そんなわがまま言うて、奴隷になったあとでなしにはできんし、どっちにしろお前の保証じゃ、もう船からは降ろされんで」
「はい。親父はもう病気で死にました。最初からいなかったんだと思っています」
闘技場で心身ともにやつれたナマエの表情だけを見ると覚悟が伝わってくるようだ。死闘を経て得たものが詐病の父親だったのだから、死なずとも治ったのかもしれない。
獅子堂はこの関連の出来事で、ようやくナマエを殴った。拳が重く肩にぶつかる。ナマエは呻きを漏らして肩を押さえようとしたが、それを控えて手を腿の横に戻す。
「そう言うてやってたのに、今更自分で悟ったみてぇに言いやがって」
「も、申し訳ありませんっ」
ナマエは深く頭を下げた。
14/22ページ