龍
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ナマエの月々の仕送りまで余すことなく持って蒸発した両親に代わって妹の学費を支払う金が欲しいと望むナマエに課したテストは、その日のうちに赤の他人から指定した金額の寄付を集めることだった。
口座にありそうな額だが、依頼の会話ではその手段を取る人柄には見えなかった。ナマエが依頼に来たのは午後六時を過ぎた時間。それから約四時間後、ナマエは依頼をこなして戻ってきた。
飲み屋で初対面の酔っ払いたちから気前よく集めた硬貨と紙幣、それから革の長財布がひとつ。その財布が目標額の大半を占めている。
「この財布をくれた人、物騒な見た目してたんじゃない?」
「はい!」
「はいって」
「俺はいいんです。身体は丈夫だし、どこでも働けます。でも妹は、せっかく勉強ができるので……」
リスクも承知のようだが、現実より軽く考えてるかもしれない。妹のことを考えるなら逮捕に至ることをすべきでないし、ナマエの若く整った容姿を見て、秋山は屋外労働を想像しなかった。
「わかりました。テストは合格ですから、融資します。だから、その金は返しに行きましょうか」
「えっ……あ、ありがとうございます! だけど、あの……ヤクザだと思います」
「そうだろうね。ウチへの返済なんて考慮してくれないだろうし、そのまま返して、それで納得してもらいましょう。どこの誰の財布かは聞いてる? ヤクザに恩を受けたら、妹さんだって恩返しに巻き込まれるかもしれないよ」
そう言われて、ナマエは止められなかった。
スカイファイナンスに取り残されて、長椅子の上で頭を抱える。居ても立っても居られない様子で、平然と仕事を続ける花を見る。
「警察に連絡しておいた方が……どう言えば」
「大丈夫ですよ! 社長、今日は一日ゴロゴロしてたから、ちょうどいい運動になると思います」
「運動ですか……?」
「うちのお仕事って同業者にそういう人が多いですから、社長は慣れっこなんですよ」
「秋山さんは、その、顔が通じるというか」
「社長はもう、すっごく強いんです!」
「そうなんですか……」
ナマエは花の自信溢れる笑顔に、面持ちは不安なまま、一度飲み込んで秋山を待つ覚悟を決めた。
それから一時間も経たないうちに、秋山がスカイファイナンスに戻ってきた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
社員同士、朗らかに挨拶を交わす。そうしてナマエの正面の長椅子に腰掛けた。
「あ、あの」
「あの財布、落として困ってたんだって。拾ってくれてありがとうって言ってたよ。残りのお金の方は妹さんのために使ってもらうとして、融資の話をしましょうか」
一体どんなやり取りがあったのか気になった。ナマエは尋ねずひたすらに頭を下げた。
口座にありそうな額だが、依頼の会話ではその手段を取る人柄には見えなかった。ナマエが依頼に来たのは午後六時を過ぎた時間。それから約四時間後、ナマエは依頼をこなして戻ってきた。
飲み屋で初対面の酔っ払いたちから気前よく集めた硬貨と紙幣、それから革の長財布がひとつ。その財布が目標額の大半を占めている。
「この財布をくれた人、物騒な見た目してたんじゃない?」
「はい!」
「はいって」
「俺はいいんです。身体は丈夫だし、どこでも働けます。でも妹は、せっかく勉強ができるので……」
リスクも承知のようだが、現実より軽く考えてるかもしれない。妹のことを考えるなら逮捕に至ることをすべきでないし、ナマエの若く整った容姿を見て、秋山は屋外労働を想像しなかった。
「わかりました。テストは合格ですから、融資します。だから、その金は返しに行きましょうか」
「えっ……あ、ありがとうございます! だけど、あの……ヤクザだと思います」
「そうだろうね。ウチへの返済なんて考慮してくれないだろうし、そのまま返して、それで納得してもらいましょう。どこの誰の財布かは聞いてる? ヤクザに恩を受けたら、妹さんだって恩返しに巻き込まれるかもしれないよ」
そう言われて、ナマエは止められなかった。
スカイファイナンスに取り残されて、長椅子の上で頭を抱える。居ても立っても居られない様子で、平然と仕事を続ける花を見る。
「警察に連絡しておいた方が……どう言えば」
「大丈夫ですよ! 社長、今日は一日ゴロゴロしてたから、ちょうどいい運動になると思います」
「運動ですか……?」
「うちのお仕事って同業者にそういう人が多いですから、社長は慣れっこなんですよ」
「秋山さんは、その、顔が通じるというか」
「社長はもう、すっごく強いんです!」
「そうなんですか……」
ナマエは花の自信溢れる笑顔に、面持ちは不安なまま、一度飲み込んで秋山を待つ覚悟を決めた。
それから一時間も経たないうちに、秋山がスカイファイナンスに戻ってきた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
社員同士、朗らかに挨拶を交わす。そうしてナマエの正面の長椅子に腰掛けた。
「あ、あの」
「あの財布、落として困ってたんだって。拾ってくれてありがとうって言ってたよ。残りのお金の方は妹さんのために使ってもらうとして、融資の話をしましょうか」
一体どんなやり取りがあったのか気になった。ナマエは尋ねずひたすらに頭を下げた。
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