龍
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仕事に反対していたジェスターが姿を見せなくなってから、内心でジェスターに賛同していたナマエは代わりに自分に声が掛かることを恐れて、ジェスターよりも優先して探されることはないだろうと考えて黙って逃げた。
それから数ヶ月後、ナマエは一人で神室町の家屋の屋上を走っていた。人気のない裏路地で地上に降りて、仮面を外して人混みに紛れる。そうして何事もない風体で歩いていると、誰かがナマエの手を掴んだ。
焦って振り返ると、相手はすぐに核心に触れた。
「きみ、窃盗団の一人でしょ」
「な……なんの話?」
「オウル」
ナマエの顔がわかりやすく青くなる。
「来て」
相手はナマエに背を向けてその手を引いた。
「お、俺……インフルエンザで! 連絡取れなくて」
「責めてないから、ここで下手なこと言わないで」
「あ、あのあの」
「口閉じて」
ナマエは泣きそうな顔で唇を食んだ。きょろきょろと視線を彷徨わせるが、誰かに助けを求めるわけにもいかず、俯いて引かれるままについて歩いた。
「で、なんでウチなんだ」
シャルルの控え室でソファに座っているオーナーの前で、ナマエは手を掴まれたまま俯いている。
「八神さんの事務所に行こうとしたら怖がるから。ゲーセンならって」
「ゲーセンなら……」
「カフェにでも行けよ。ここ、もともとヤクザが取引に使ってたんだぞ」
オーナーがナマエの目を見る。
「えっ」
「ちょっと東さん、カタギをびびらせないでくれる?」
「なんでカタギがこそこそしてんだよ」
「カタギにもいろいろあるから。ね、オウル」
「なんでカタギにコードネームが」
「ねぇ、まだクロウたちとやってるの?」
「おい」
オーナーも怖いが、それでもナマエにとって一番怖いのは目の前の男で、オーナーを無視して答える。
「いえ……なんか、いつの間にか解散した……みたいで、一人で偵察だけやってます」
「え、連絡なかったの?」
「仕事したくなかったので、無視してて……連絡先、間違って消しちゃって」
「……そんな杜撰さで、フォローしてくれる人もいない状況でやるべきじゃないと思う。もうここで終わりにしなよ。僕に捕まってるんだから」
「は、はい。ここで辞めます。あの……」
「あ、僕、ジェスター」
「あっ、ジェスター?」
ナマエの顔がぱっと明るくなった。
「えっ、よかったあ、無事だったんだ! てか、俺、わあ、よかったあ、クロウたちキレてて……よかったあ。クロウたちどうしてるか知ってる?」
「うん。もう辞めたって」
「本当に解散してたんだ……ジェスターにも連絡あったんだ」
「人伝にね」
「仲直りというかさ……できたの?」
「辞めてからは直接話してないけど、まあ、そうかな」
「よかっ……たあ」
二人は和気藹々とした雰囲気になったが、窃盗団仲間とかマジでカタギと言えねぇだろと思いつつ、東はもう何も言わなかった。
「僕、杉浦。きみの名前は?」
「俺、ナマエです」
「よろしく、ナマエ」
「よろしく、杉浦さん。あの、オーナーさんは?」
ナマエがオーナーを見る。
「え? ひ、東」
「よろしく、東さん」
「ああ、どうも……話がついたんなら、うちのゲーム遊んでから帰れよ」
「はい!」
ナマエは素直に返事をした。
それから数ヶ月後、ナマエは一人で神室町の家屋の屋上を走っていた。人気のない裏路地で地上に降りて、仮面を外して人混みに紛れる。そうして何事もない風体で歩いていると、誰かがナマエの手を掴んだ。
焦って振り返ると、相手はすぐに核心に触れた。
「きみ、窃盗団の一人でしょ」
「な……なんの話?」
「オウル」
ナマエの顔がわかりやすく青くなる。
「来て」
相手はナマエに背を向けてその手を引いた。
「お、俺……インフルエンザで! 連絡取れなくて」
「責めてないから、ここで下手なこと言わないで」
「あ、あのあの」
「口閉じて」
ナマエは泣きそうな顔で唇を食んだ。きょろきょろと視線を彷徨わせるが、誰かに助けを求めるわけにもいかず、俯いて引かれるままについて歩いた。
「で、なんでウチなんだ」
シャルルの控え室でソファに座っているオーナーの前で、ナマエは手を掴まれたまま俯いている。
「八神さんの事務所に行こうとしたら怖がるから。ゲーセンならって」
「ゲーセンなら……」
「カフェにでも行けよ。ここ、もともとヤクザが取引に使ってたんだぞ」
オーナーがナマエの目を見る。
「えっ」
「ちょっと東さん、カタギをびびらせないでくれる?」
「なんでカタギがこそこそしてんだよ」
「カタギにもいろいろあるから。ね、オウル」
「なんでカタギにコードネームが」
「ねぇ、まだクロウたちとやってるの?」
「おい」
オーナーも怖いが、それでもナマエにとって一番怖いのは目の前の男で、オーナーを無視して答える。
「いえ……なんか、いつの間にか解散した……みたいで、一人で偵察だけやってます」
「え、連絡なかったの?」
「仕事したくなかったので、無視してて……連絡先、間違って消しちゃって」
「……そんな杜撰さで、フォローしてくれる人もいない状況でやるべきじゃないと思う。もうここで終わりにしなよ。僕に捕まってるんだから」
「は、はい。ここで辞めます。あの……」
「あ、僕、ジェスター」
「あっ、ジェスター?」
ナマエの顔がぱっと明るくなった。
「えっ、よかったあ、無事だったんだ! てか、俺、わあ、よかったあ、クロウたちキレてて……よかったあ。クロウたちどうしてるか知ってる?」
「うん。もう辞めたって」
「本当に解散してたんだ……ジェスターにも連絡あったんだ」
「人伝にね」
「仲直りというかさ……できたの?」
「辞めてからは直接話してないけど、まあ、そうかな」
「よかっ……たあ」
二人は和気藹々とした雰囲気になったが、窃盗団仲間とかマジでカタギと言えねぇだろと思いつつ、東はもう何も言わなかった。
「僕、杉浦。きみの名前は?」
「俺、ナマエです」
「よろしく、ナマエ」
「よろしく、杉浦さん。あの、オーナーさんは?」
ナマエがオーナーを見る。
「え? ひ、東」
「よろしく、東さん」
「ああ、どうも……話がついたんなら、うちのゲーム遊んでから帰れよ」
「はい!」
ナマエは素直に返事をした。
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