小説
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高校生のときに神室町で調子に乗った振舞いをしていて、悪人のカモになりかけていたところを春日一番に救われた。そのときの説教の迫力が恐ろしくて、それが真っ当になるきっかけになった。その後に春日一番が殺人で有罪になったことを知って、仲間内でびびったりした。
順風満帆な大学生活を送っていたとき、ふとあの日の対応を思い出してありがたさを感じたが、もう交わることはないと思って忘れていた。
新卒で就職してからずっと続いている異人町での社会人生活も慣れたもの。何ともない一日の帰りに、既視感を覚える人を見た。赤の一式。日常で関わりがあるなら忘れることはなさそうで、昔テレビに出ていた芸能人とか……と考えていたところで、はっと思い出した。
「春日一番!?」
思わず口に出た。顔はあまり思い出せないが、スーツと着こなしが当時のままだ。髪型はああではなかったと思う。
目が合って、まずいと思った。恩人でも殺人歴がある元ヤクザ。声は届いていなかったが、自覚できるほど顔に出て、大丈夫かと声を掛けられた。
春日は一見、気のいい人だった。もう誤魔化しようがないと思って、正直に高校時代のことを話した。春日はナマエのことを覚えていなかったが、何かの縁だと飲みに誘われた。確かに高揚する再会だった。恐怖だけの高揚でないかどうかは判断できないが、その誘いに乗った。
適当に入った居酒屋で話してみると、春日はとても魅力的な人だった。それでも怖れるべきかもしれないが、事情があったのかもしれないとまで思った。だがその世界の実情を知らないし、知りようがない。
頭では色々考えていたが、出たばかりとか、スマホに慣れていなくて、とか言われたときにひやっとしたものの、春日の人柄のおかげで酒にも上手く酔えて、上辺は楽しく飲みを終えた。
翌朝、自宅のリビングでスーツに着替えながら流し見ていたテレビで一番製菓のCMが流れた。出社前のこの時間に流れるのを毎日のように見ていたが、このところ見なくなっていた。異人町に住み始めたばかりのころは、ホームシックに苛まれると一番製菓で煎餅を買って、異人町ならではの良さを味わっていた。久々に社名を見たと思ったら、いた。
「春日一番!?」
昨晩は聞かれるままに自分のことばかりを喋った。今何をと聞けなかったからだ。交換したものの使うことはないと思っていた連絡先に、思わずメッセージを送った。
順風満帆な大学生活を送っていたとき、ふとあの日の対応を思い出してありがたさを感じたが、もう交わることはないと思って忘れていた。
新卒で就職してからずっと続いている異人町での社会人生活も慣れたもの。何ともない一日の帰りに、既視感を覚える人を見た。赤の一式。日常で関わりがあるなら忘れることはなさそうで、昔テレビに出ていた芸能人とか……と考えていたところで、はっと思い出した。
「春日一番!?」
思わず口に出た。顔はあまり思い出せないが、スーツと着こなしが当時のままだ。髪型はああではなかったと思う。
目が合って、まずいと思った。恩人でも殺人歴がある元ヤクザ。声は届いていなかったが、自覚できるほど顔に出て、大丈夫かと声を掛けられた。
春日は一見、気のいい人だった。もう誤魔化しようがないと思って、正直に高校時代のことを話した。春日はナマエのことを覚えていなかったが、何かの縁だと飲みに誘われた。確かに高揚する再会だった。恐怖だけの高揚でないかどうかは判断できないが、その誘いに乗った。
適当に入った居酒屋で話してみると、春日はとても魅力的な人だった。それでも怖れるべきかもしれないが、事情があったのかもしれないとまで思った。だがその世界の実情を知らないし、知りようがない。
頭では色々考えていたが、出たばかりとか、スマホに慣れていなくて、とか言われたときにひやっとしたものの、春日の人柄のおかげで酒にも上手く酔えて、上辺は楽しく飲みを終えた。
翌朝、自宅のリビングでスーツに着替えながら流し見ていたテレビで一番製菓のCMが流れた。出社前のこの時間に流れるのを毎日のように見ていたが、このところ見なくなっていた。異人町に住み始めたばかりのころは、ホームシックに苛まれると一番製菓で煎餅を買って、異人町ならではの良さを味わっていた。久々に社名を見たと思ったら、いた。
「春日一番!?」
昨晩は聞かれるままに自分のことばかりを喋った。今何をと聞けなかったからだ。交換したものの使うことはないと思っていた連絡先に、思わずメッセージを送った。
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