龍
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春日とナマエはご飯屋を探して入った商業ビルの一室に閉じ込められてしまった。ドアを開けてすぐに大きなベッドがひとつあって、その横のテーブルにいろんな備品が未開封で揃っている。それ以外には電話も料金表も仕切りもなく、どんな店も思い当たらない。出ようとしてもさっき閉まったばかりのドアが開かなくなっている。見てみるとそもそも内鍵がない。
「春日さん、あれ」
ナマエがドアを押し引きしている春日の肩を叩いて壁を指差す。セックスしないとでられないとだけ書いてある。
「え? ……まさか、そんなぁ」
春日は眉を顰めて笑う。
「間違えて入っただけですし、俺たちがいるのは家主の意図ではないと思いますが……ドア、ぶっ壊す勢いでぶつかってみてください。奥を調べてきます」
部屋の奥にあるドアの先には個室のトイレとガラス張りのシャワールームがあるだけだった。換気扇と排水溝以外に外に繋がる隙間はない。出入り口のほうは春日が力を尽くしても表面に傷がつくだけでどうにもならなかった。
「春日さん、腹決めて……やってみましょう!」
「や、やっぱり、やってみる? 試してみるに越したことはねぇもんな……」
「はい」
春日は少し躊躇いつつ満更でもない態度で頭を掻いた。
「これが龍魚……かっこいい」
「へへ、そうだろ? ナマエに褒められんの、くすぐってぇな」
「春日さん、背中まで赤くなってますよ」
「恥ずいな……勘弁してくれよ」
順番にシャワーを浴びて、ベッドに裸で腰を下ろした。事故のような成り行きで関係を持つのに、二人ともすっかりその気になって、親しげな雰囲気が漂う。
ナマエは春日と身体を交えながら、錠の音を聞いた気がした。
「あ……開いたかも」
「そうかもな……」
春日は微笑んでナマエに口を寄せる。
「もう、一番……」
ナマエは春日の首に腕を回して、嬉しそうにそれに応えた。
行為を終えてから簡単な身支度を済ませて出入り口のドアを引くと、抵抗なく開いた。外に出てしまうと、さっきまでの理解できない出来事が嘘のようだ。
二人はジャケットに袖を通して、部屋に入る前と全く同じ格好になった。
「出れましたね。ありがとうございました、春日さん」
ナマエが淡々と告げる。
「えっ……嘘だろ、ナマエ? ねぇ、悲しすぎ!」
「嘘だよ、一番」
「もう、弄びやがって」
ナマエは明るく笑って春日に身体を寄せた。
春日は頬を緩めてナマエの腰を抱く。
「それはそれとして、ここは封鎖して、家主には話を聞かせてもらいますよ。コミジュルに捜索頼みます。首、横には振らせませんよ」
「お、おう。俺も、当事者として許せません……でも、コミジュルとは穏便にいこうな……」
春日の方は部屋を出てからはキューピッドくらいに思って浮かれていたが、ナマエが怒りながらも隣を離れないことに安堵しつつ、内心の相違に冷や汗をかいた。
「そうだ……ナマエ、飯はどうする?」
「……まずは、飯にしましょうか」
言われて空腹を自覚したナマエが笑って、二人は馴染みの居酒屋に向かうことにした。
「春日さん、あれ」
ナマエがドアを押し引きしている春日の肩を叩いて壁を指差す。セックスしないとでられないとだけ書いてある。
「え? ……まさか、そんなぁ」
春日は眉を顰めて笑う。
「間違えて入っただけですし、俺たちがいるのは家主の意図ではないと思いますが……ドア、ぶっ壊す勢いでぶつかってみてください。奥を調べてきます」
部屋の奥にあるドアの先には個室のトイレとガラス張りのシャワールームがあるだけだった。換気扇と排水溝以外に外に繋がる隙間はない。出入り口のほうは春日が力を尽くしても表面に傷がつくだけでどうにもならなかった。
「春日さん、腹決めて……やってみましょう!」
「や、やっぱり、やってみる? 試してみるに越したことはねぇもんな……」
「はい」
春日は少し躊躇いつつ満更でもない態度で頭を掻いた。
「これが龍魚……かっこいい」
「へへ、そうだろ? ナマエに褒められんの、くすぐってぇな」
「春日さん、背中まで赤くなってますよ」
「恥ずいな……勘弁してくれよ」
順番にシャワーを浴びて、ベッドに裸で腰を下ろした。事故のような成り行きで関係を持つのに、二人ともすっかりその気になって、親しげな雰囲気が漂う。
ナマエは春日と身体を交えながら、錠の音を聞いた気がした。
「あ……開いたかも」
「そうかもな……」
春日は微笑んでナマエに口を寄せる。
「もう、一番……」
ナマエは春日の首に腕を回して、嬉しそうにそれに応えた。
行為を終えてから簡単な身支度を済ませて出入り口のドアを引くと、抵抗なく開いた。外に出てしまうと、さっきまでの理解できない出来事が嘘のようだ。
二人はジャケットに袖を通して、部屋に入る前と全く同じ格好になった。
「出れましたね。ありがとうございました、春日さん」
ナマエが淡々と告げる。
「えっ……嘘だろ、ナマエ? ねぇ、悲しすぎ!」
「嘘だよ、一番」
「もう、弄びやがって」
ナマエは明るく笑って春日に身体を寄せた。
春日は頬を緩めてナマエの腰を抱く。
「それはそれとして、ここは封鎖して、家主には話を聞かせてもらいますよ。コミジュルに捜索頼みます。首、横には振らせませんよ」
「お、おう。俺も、当事者として許せません……でも、コミジュルとは穏便にいこうな……」
春日の方は部屋を出てからはキューピッドくらいに思って浮かれていたが、ナマエが怒りながらも隣を離れないことに安堵しつつ、内心の相違に冷や汗をかいた。
「そうだ……ナマエ、飯はどうする?」
「……まずは、飯にしましょうか」
言われて空腹を自覚したナマエが笑って、二人は馴染みの居酒屋に向かうことにした。
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