二章 コランバインのバラード【前半】
朝食を終えて、今は部屋でダラダラしている。まだゆっくりしていてもいいかな、というなまけた気持ちだけで時間を過ごしているわけではない。自室にある椅子に腰かけ、今朝のことをしばらく考えていたのだ。
ぴこん
電子音がした。モノタブから聞こえたようだ。
それを見ると、何かの通知が来ている。
【大原のモノタブ】
『白石舞琴』
「なんだ?ああ、チャットの通知か」
そういえば、あまりこの機能を使っていなかった。
開いてみると、白石から一件メッセージが届いているようだ。
『探索するってさっき言ってたけど……』
朝、断れることを覚悟して誘ったが彼女からの返事はなかった。
もしかして、いい答えが今聞けるのだろうか。
『ああ!一緒にどうだ?白石の見解とかも聞きたいしな!』
そう送るとすぐに返信が返ってきた。
小説家は大体の人がマメで連絡などは早いと聞いたことがある。白石もそうであるらしい。
『見解?洗脳とかそういう話の?』
流石だ。こっちが言葉足らずであってもすぐに理解してくれる。頭の回転が速いのか。
『そう!他の人の意見も聞きたいと思ってさ!で、探索どう?』
『いいよ。櫻井さんもいていい?』
櫻井とは、この学園で最初に話したきりまともに話していない。
ちょうどいい機会かもしれない。
『もちろん!櫻井の話とかも聞いてみたいな!てか、二人って仲良かったんだな』
櫻井は探偵だ。それも超高校級の、だ。
近いうちに話しておきたかった。
『まあね。でもそんなの今はどうでもいいよ』
『そうか…、じゃ、探索何時に行く?』
『余裕持って探索したいから今からかな』
特に用事はないので問題はない。
くつろぐことをやめ、椅子に掛けておいたパーカーを羽織って準備をする。
『了解!今から食堂に向かうから。そこを待ち合わせ場所にしよう!』
『わかった。櫻井さんには私が伝えておくよ』
『任せた!』
部屋の電気を消して、外に出た。
遅れなどしないように、早足で食堂へと向かう。寮から食堂のある第二校舎まではそれほど離れていないが、念のために急ぐ。
そして、目的地に着いた。まだ白石たちの姿は見えていなかった。
「おー、空じゃんか!腹でも減ったん?」
四津谷に話しかけられた。今食堂には彼と百鬼に架束、出口とローゼン……そして鑑がいた。
彼らは探索をするでもなく、雑談をしている。ひょっとすると朝食の時からずっとここから動いていないのか。
「いや、人を待ってるだけだ」
誰を待っているかなんて言わなくて良いか、聞かれたら答えればいい。
四津谷は興味が無いようで、
「ふーん、じゃ、待ち人が来るまで俺ちゃんたちが話し相手になってやろうか?それまで暇だろ」
それもそうかと、少し彼らと話すことにした。