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序章 ダチュラの花の咲き始め



「だから今からちょースペシャルな入学式が始まるんだって!だから今その準備の時間なんだ!」

「ただの遅刻だと思うよ。というかうるさいな。」

「まぁまぁ……でも確かに遅すぎだよね?」


ベンチの辺りがやけに騒がしい。
見ると男女三人組が何故かベンチに座らず大騒ぎしている…。
いや、見たところうるさくしているのは男一人だけだが。

「あのー!自己紹介したいんだけど」

一声かけると三人の顔がこちらを見た。


「あーちょっとお前聞いてよ!入学式なのに教師が来てないのって絶対これからハッピーなサプライズが待ってるからだよな!」

「いやー…あの、自己紹介を…」

男の方は話が通じないようで、助けを求めるためにもう二人を見る。


「ごめんね…くだらないことで騒いじゃって。うるさかったね。私は百鬼なきり紗月です!よろしくね!」

「やぁやぁ、こんにちは。
私は秘星麻央。通りすがりの監督さんさ」

私は櫻井奈々子だよっ!探偵なんだ!


「あー…俺ちゃんは四津谷弥音やおと。超高校級の作詞家やってまーす。てか奈々子ちゃんめっちゃ可愛…」

「私たちは同じ中学校出身なの!」

百鬼と名乗るその子は見たことがあった。
あの有名な歌手だ。うわっサインください…!!
そしてその隣にいる秘星も名前は知っていた。
有名監督だもんなぁ…。

「わー!紗月さんに会えるなんて…!!というか麻央さんに紗月さんが同じ学校出身なんて知らなかったよー!」

「あの、俺ちゃんも同じ学校なんだけど…」

でも四津谷なんて名前あまり聞かないもんな。

「うーん、同級生の情報は調べてたけど…四津谷って名前は無かったからそんなに驚かないというか」

「酷いな!?俺ちゃんそんなに知名度低い!?」

そこまで来て自分の紹介を忘れていたことに気づく。
この三人の近くにいるとペースが崩れるな…。

「俺は超高校級の幸運の大原空…って話聞いてないな!?」

相変わらずうるさい男のせいで
声が届かなかったんじゃないか?
しかし、三人に聞こえたかどうかは分からないが
去り際に秘星が「探偵ちゃん、幸運くん、これからもよろしく頼むよ!」と叫んだので
伝わったと信じたい

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