二章 コランバインのバラード【前半】
探すこと数分……も経ってないかな。
やっと相応しい場所を見つけた。
「み、見つけたぞ!」
自分の声を聞いた桐谷と内沢の二人が駆け寄ってくる。
「教卓か!この大きさなら隠せそうだ!大原やるじゃん!」
黒板の前にある教卓は、長細くて鍵付きの収納までついている。
なんてラッキーなんだ。
「鍵はあるのォ〜?」
「ご丁寧に教卓の中にあったよ。」
これはモノゴンの仕業だと思ったが、どこかおかしく感じた。
こんなにも「隠せ」と言わんばかりに鍵を置くものだろうか。
黒幕側からしたら、凶器がそこら中にある方がいいと思う。
「どうしたの?大原。さっきからボーッとしてるけど?」
「あ、あぁ。ごめん!ちょっと変なこと考えてた」
気づけば模擬刀を握りしめたまま立ち尽くしていた。
「えェ〜刀持ちながら変なこと考えてるってことはァ〜……」
「いやいや誤解だ!誤解!」
二人の冷めた視線が突き刺さる。
すぐに弁解したが、そう捉えられても仕方のないことだ。自分が内沢達の側にいたら同じことを考えるだろう。
かちゃ
「よし、無事に入ったぞ!鍵も閉めたし!」
そんなに大きくない模擬刀で良かったと、胸を撫で下ろす。
これでひとまず安心だ。
あとはこの鍵を誰が預かるか、だ。
「なぁ、この鍵どうー……」
「よし!行こうか!」
瞬間、オレの手から鍵は消えていた。
見ると、鍵は桐谷の手の中にあった。
「ちょ、鍵……。どこに行くんだ?」
「トイレ!お手洗い!昔で言えば、厠だね!」
「なんだよ!?それ!トイレなんて集団で行くもんじゃないだろ!」
彼を見れば、ついてくればわかるよ!と言わんばかりの顔をしていた。
何か策があるのだろう。今まで騒いでいたせいで、無駄な時間を過ごしてしまった。ノロノロしていられない。
とりあえずついていけばなんとかなるかもしれない。
「えェ〜じゃあ女子トイレ?男子トイレ?」
「一人だとちゃんと仕事をこなしてくれるか分からないからね!」
どうやら男子トイレに行くようだ。
内沢は、人が来たら追い払うことになった。つまりは見張りである。
生憎、この建物にはトイレが無い。
やむを得ず第一校舎を目指すことになった。
全く、不便な作りだ。