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二章 コランバインのバラード【前半】

ローゼン達と別れて、被服室を出た。
鑑のいれてくれたジャスミンティー美味しかったな、また飲みたい。
しかし、一体あの茶葉はいつからあったのだろうか。茶葉は腐らないが、放っておくと風味が落ちるものだ。元々この学校が使われていた時のものだとしたら……。
最近のものだったり、なんて、考えながらドアを開けた。

シーン……

誰かいるかと少し期待をしたが、被服室はもぬけの殻だった。

「……とりあえず調べてみるか」

360度回ってみて、部屋の構造を確認する。調理室とは違い準備室は無いようだ。



……ため息をつく。何故って、この教室に目立ったものは何も無いのだ。手がかりになりそうなものも見たところ無さそうだし。
ただ、被服室の奥の端に横に長いロッカーがありその上に人形やマネキンが並べられている。
近づくと、それは少し不気味に感じた。


「……よっと」

人形を持ち上げるとそれは、見た目に反して重い。それでも、この前の鉛のバケツよりは随分軽い。一体何が入っているのだろうか。
その重さも、怖さの要因の一つだ。もう一つは、なんといっても見た目だ。謎の白黒の熊のようなものもあれば、金髪の西洋の女性のようなものもある。しかし一番目につくのは、黒髪の目のボタンが取れかけた少女の人形だ。服は他の人形より酷く薄汚れており、首に謎の糸が巻き付けられている。
……その糸は、本物の人の髪の毛か?そう思うほどに、リアルであった。

「絶対何か隠されてるよな。これ……」

中を見たくても、黒髪の彼女は汚れている割には破れてるところは無く、難しい。
人形を解体して中に何が入っているか見てしまいたい。
しかし解体するような道具を持っていないし、何より人形にそんなことをして後に祟られたりなんてしたら……。
いや、決して幽霊だとか妖怪だとか信じているわけじゃないが……。
……今は調べるときじゃない、と自分に納得させてその人形は後にした。逃げたわけではない。

「被服室に人形ってことは、授業で生徒達が作ったのかな……。廃校になったなら、生徒達に返せばいいのに。」

文句を言ったところで、返事が返ってくることはない。

人形やマネキン以外には、特に何もない。
ただ怖いだけで、情報を一つもゲットできなかった。

絶対、ここにはもう来たくない。

……この部屋から出る時、何か視線を感じた気もしたが気のせいということにしておこう。



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