一章 季節外れのプリムラ【後半】
クライマックス推理開始——
Act1
大「今日の朝の7時に犯人は伊織を呼び出した。その時きっと凶器である重りは持っていたんだ。それで、話しながら移動したのか?そこで殴ろうとして、三角のガラスの破片で反撃されたのか、思わぬ傷を負う。焦って強打を繰り返してしまった。しかし、用意周到な伊織がその時の音声を録音されていた。そのことに犯人は気づかなかったんだ。」
Act2
大「それで、どこに隠すか悩んだ結果倉庫にでも伊織を引きずって運んだんだろう。
それでとりあえず、彼を倉庫に入れた後殺害現場へと引き返し証拠隠滅を図ったんだ。石像で隠すという……藁にもすがる思いだったんのかな。そして、凶器の重りは分かりづらいように木の釣瓶と交換。木の釣瓶が倉庫にあるのは不自然だから、汚れてしまった服と一緒に焼却炉に入れて燃やした。新しい服は返り血を浴びた時用に用意していたのかもしれない。」
Act3
大「何かを考えていたのか、暫く犯人はそこにいた。しかし、伊織を探す声を聞き急いで伊織の遺体を椅子に座らせた。万が一の為に録っておいたのか分からないが録音機器を近くに設置。そうしてなに食わぬ顔をして百鬼達に合流したんだ。そして、百鬼が伊織に声をかけたタイミングを狙って音声を再生することにより、彼が生きていると錯覚させた。』
Act4
大「そして、彼女達と別れた後急いで焼却炉にリモコンを投げ入れまた燃やしたんだ。隠すのは無理だと悟ったのか、犯人が分かりにくく混乱させる為か伊織の遺体を井戸に移動させた。その間に秘星と架束がドアの縄を締める河西を目撃したんだ。もちろん、縄が締められては入るのに時間がかかるし倉庫に忘れたモノタブを取りに行くことは困難だ。犯人が忘れたことにその時気づいていたかは知らないが。それで、とにかく普通を装う為カフェに移動。そこで櫻井に話しかけられたところでアナウンスが鳴る。
彼が汗だくだったのは短時間で重労働をしたすぐ後だったからだ。」
「これで全ての辻褄が合う!これをやってのけるのが可能なのは
明石大和!お前しかいないんだ」
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明「……チッ……お手上げだよ。もうこれ以上反抗する気もない。元々、死ぬ気で挑んだことだ。」
肩をがっくりと落とすその姿はさっきまで偉そうな口を叩いていた人には見えない。
大「それで、反撃されたとするならその傷はあるのか?」
明「嫌なことを聞くね。あるよ。全く勘がいいのかなんなのか。」
そう言って彼はおもむろに腕のシャツをめくる。
そこには破れたシャツが結ばれていた。
そのシャツをも外すと、赤い刺し傷が出てくる。
明「まさか反撃されるとは思わなかったよ。」
明「まぁいいや、モノゴンその投票だっけ?やってくれよ」
あまりの展開についていけず、多くは口を噤んだままだった。
そんなところに忌々しいモノゴンの声が響く。
モ「はぁあ……やっと終わったよ!途中ボク寝てたんじゃない?でも……うぷぷぷぷ!お楽しみの投票タイムが来たんだ、張り切っていかないとね!」
モ「じゃあオマエラ、お手元にあるスイッチで投票してください!絶対誰かに投票してよ?じゃないとオシオキ、しちゃうかもよ?」
「………。」
モ「さあ参りましょう!その答えは正解なのか不正解なのかッ!うーん、結果が待ち遠しいよぉ〜」
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モニターに謎のスロットが映し出された。
スロットには、よくパチンコ屋にあるような数字ではなく自分たちの顔が印刷されている。悪趣味だ。
次第にスロットは回り、加速する。
回る。回る。どんどん回る。
いつまで回るのだろう、と思った時にやっとスロットが止まる。
明石の顔が描かれたものが三つ並んだ。
同時にコインが溢れ出す。
暗い空気とは裏腹に音楽は軽快だ。
ー学級裁判閉廷ー