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一章 季節外れのプリムラ【後半】


明「は、はぁ?何を言っているんだ。貴方は。」

明石はあからさまに眉を潜める。
前も、似た仕草をしていた。

大「少し強引だけど、理系は明石しかいないんだよ。」

明「趣味で理科が好きという人もいるんじゃないか?」

大「趣味であんなリモコンまで作れるかな……」

内「それにさァ〜。私前々から思ってたんだけど、明石クンってすごく怪しいよねェ〜。だって、今は犯人は女性では無理ということが分かってるわけだけどさァ〜。」


内「それまで、女性が犯人って私達が思わされていたのは明石クンの音声解析結果のせいだよねェ〜。単に間違えただけなら本当に物理、好きなのォ?ただ好きなだけで能力は乏しいのかなァ〜」


桐「確かに……。解析したのは明石一人だけだ。なんとでも言えるな。」

明「そ、それを証明しようにしたって、貴方達にはできないんだから仕方ないだろう!」

内「アハハ〜、ちょっと不思議だなって思ったから言っちゃったけど図星かなァ〜?」

いつになく大きな声で明石が怒鳴る。
思わずのけぞりそうになるほどに。

明「そ、それこそ証拠が少なすぎるんじゃないか?」

架「……そういえば、伊織さんの手の平の切り傷と草むらに落ちていたガラスの破片ってなんだったんだろう?」

明「……。」

証拠はあるはず。
それを明石に突き付けよう。
きっと、これが正しい答えなんだ……!


P・T・A開始——


明「はは、あまり適当なこと言うなよ。後になって後悔するぞ」

大「何に後悔するんだ?もし違ってたら謝るよ。」

明「大体僕が犯人だと決めつける証拠がそれだけとは、納得がいかないね!」

大「それだったら……。モノタブを出してくれない?」

明「はぁ?なんで僕の私物をアンタなんぞに渡さなきゃいけないんだ?」

大「往生際が悪いぞ……。本当は分かってるんじゃないか?このままいけばいずれバレてしまうって」

明「はぁ……空っぽな頭での発言はよしてほしいよ?」

大「空っぽな頭だったらここまで辿り着けていない。脳の密度が低い明石よりマシだよ。」

明「言わせておけば、ふざけるなよ。こんな状況になってもろくに何も考えようとしてなかったくせに!現実逃避しかしない阿保より僕の方が優れている!」

大「……。」

明「それにさ、それに……そんなに僕が犯人だと言うのなら立派な証拠を提示してほしいねッ!」


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大「三角のガラスの破片、モノタブにお前は反応したな。お前、自分の癖くらい把握した方がいいんじゃないか?」

明石の癖は、推測だが不快感を感じた時に眉を潜めることだろう。
今挙げた単語を並べた際、明石の眉が潜められたのを確かに見た。

明「……それがなんだって言うんだ。」

大「三角のガラスの破片……そんな単語は初めて出したのにそこまで気にすることか?心当たりあるんだろ。」

櫻「あっ、それなら……蒼太くんの手の平の傷の幅を見るに、きっとあの三角のガラスを握っていたんじゃないかなっ」

架「何のために?」

櫻「反撃する為に。大方呼び出されて、察していたとかじゃない?」

百「……今更ですけど焼却炉でボタンのような物も見つけてます。」

それが明石のシャツなのではないか。
きっと、血がついたかなんかで燃やしたんだろう。

大「だから、もし潔白だと言うなら怪我が無いか見せてくれよ」

明「それはできないな。」

四「ばっか!お前、疑いを晴らすチャンスなのに!?」

明「ハッ、誰がアンタらみたいな低俗な奴らに自分のことを教えなければいけないんだ?」

もう吹っ切れたのか何なのか、性格も歪んでしまった。元からなのかもしれないが……。

四「俺ちゃんショック!一週間寝込みます!」

桐「うん、じゃあさちょっといい?明石」

明石が桐谷に呼ばれそちらを向く。
そこにあったのは倉庫で見つけたというモノタブであった。

モ「あー、もう分かってるだろうから言わなかったけどモノタブは顔認証だもんね〜!強制のさ!勝手に認識して開いちゃうから分かんないだけで」

伊織のモノタブが開けたのは、もうこの世に存在していない人のものだからだそうだ。

一瞬で明石の顔が青ざめる。

明「何だその四角いの……。それは僕の所持品ではない」

そのモノタブのトーク履歴などを見るとどんどん彼が犯人である説が濃厚になってくる。


『明日の朝の7時に、倉庫の前に来て欲しい。大切な話がある。』

『悩み相談か?それなら、こっちに来てくれると助かるんだけど。』

『ごめん。人に聞かれたくない話なんだ。……コロシアイを企んだ奴らについて分かったかもしれないんだよ』
 

どう見てもクロである。

櫻「……そろそろはっきりさせた方がいい気がするよ。」

大「じゃあそれは、オレがやる!」


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