一章 季節外れのプリムラ【後半】
議論開始——
秘「で、どうして付け替える必要があるんだい?犯人さん答えておくれ〜」
四「えーと、気分でーす〜っていやいや、犯人そんな迂闊に発言しなくない?」
秘「えっ弥音、君犯人なのかい?」
四「悪ノリです〜違います〜」
鑑「……学級裁判ですよ、もう少し真面目にしてください。」
秘「ゴホンゴホン、自分が犯人だとしたら間違いなく私は釣瓶を付け替えるなんて無駄なことしないよ。そのまま元の場所に戻しでもするさ」
出「確かに……。付け替えるメリットが思いつかん……。わたしも犯人だったらそげな効率悪いことせんばい。」
桐「んー、じゃあさその凶器にした重りを元の場所へ戻す時間がなかったとしたら?その辺に放置していたら、すぐに凶器がバレてしまうとしてさ」
儚「えーと……なんとかして隠しますね。私だったらですけど。」
内「あ〜分かったよォ。すぐに燃やしたりできて持ち運びのしやすい木の釣瓶と付け替えたんじゃない?」
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大「それに賛成だ!」
大「それだよ!木の釣瓶は大方焼却炉の中といったところじゃないか?何より、焼却炉の中から【謎の金具】が見つかった!【備品リスト】を見るにそれは木の釣瓶についてたものだったな」
白「決定的な証拠だね。でもその鉛の重りを焼却炉に入れるってことはないの?」
四「だよなー、確か鉛は約330度で溶けるはずだぜ?焼却炉の基本温度は800度だろ?俺ちゃんだったら鉛インプラスチックを焼却炉に投げ込むぜ!」
桐「鉛がたくさん入ってる重り。焼却炉で溶かすとどうなる?鉛中毒が起こってしまうよ。これは社会的問題にもなったと思うけどねー」
百「……犯人は、そういう倫理観持ち合わせてる人なんですね……?」
秘「いや、持ち合わせてたら殺人なんてしないと思うけど。」
桐「十中八九、自分にも害が及ぶかもしれないことを考えての行動でしょ」
なるほど。
凶器がについてはこれで確定といったところだろう。
さて、凶器が分かったところで次は殺害現場を特定する必要がある。
議論開始——
大「それで、殺害現場ってどこだろうな」
ロ「井戸ではありませんか?井戸で蒼太さんが見つかりましたし」
出「ううん……。井戸には血痕なんて無かった」
儚「じゃあ、倉庫はどうですか?床に血がこびりついていましたよ」
白「本当に倉庫かな?確かにこびりついていたけど、形は殴られて飛び散ったようなものじゃなかったよ」
櫻「うーん、もうどうしようっ!他に血痕なんて無いよねっ?私見てないよ……」
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大「それは違うよ!」
血痕は、確かに他の場所にもあった。
大「井戸から倉庫へ行く途中に、謎の空間があったはずだ。」
櫻「謎の空間?」
桐「ああ……俺達は、ちょっと俺が念入りに遺体を調べてたせいでそこまでは見れてなかったよ」
櫻「うーん、なるほど?で、そこに血痕があったの?」
大「ああ、二体の石像に隠れるようにしてな。」
架「多分、倉庫にあった二体の石像だね。倉庫からは石像が無くなっていたから。」
出「そういえばそればどけたら、【赤黒い草】があったばい。」
大「ああ、触ったら指に少しついたろ。あれは元々の草の色じゃない。赤黒い液体だ。つまり、血液だよ」
桐「なるほどね。じゃあそこが一番現場っぽいな。わざわざ血液を隠しているんだし。でもその二体の石像は8時から8時15分の短時間で動かせるの?」
大「……それは確証は無いけど、前々からそこに石像が動かされていたのかもしれない。本当にそれは犯人のみぞ知ることだ。」
大「それに、石像付近にプラスチックの破片があったんだ。殴ったときに破片が飛び散ったとしたら、これはすごく貴重な証拠じゃないか?」
櫻「それはもう、揺るぎない証拠だね。殺害現場は木々の間の空間だっ!」
大「ついでに言えば、伊織のモノタブもここで見つけたんだ。」
これで現場は確定された。
しかし、この空間のうす気味悪さは殺害現場だからということだけではない。
他にも謎の証拠品が見つかっている。
【三角のガラスの破片】……一体なんなのだらう。
これは後回しにした方がいいかもしれない。