一章 季節外れのプリムラ【後半】
学級裁判休廷となって何かを飲んだり、愚痴でも話しているのか数人で集まっている人達もいる中「大変だねぇ〜」という素っ頓狂な声が聞こえた。
その声の主は、小さいくせに恐ろしいトカゲのような奴だった。
「大変だねぇ大変だねぇ。複雑になってきちゃったんじゃない?」
「そうですね、まずはこれについて話し合おう!などと分ければ良いのに、流れに任せて好きなように話すから今がどういう状況かと把握するのがとても困難です。」
「そうだね!じゃあこうしよう。この休廷の間、ボクと一郷で今までの学級裁判の内容のおさらいをしていくよ!」
別にモノタブでも見れるけど、口頭でも言っておいた方がいいでしょ?気になる人だけ聞いといてよね!
そう言って勝手にソイツは話し出した。
「えーと、今完全に分かっているのは伊織クンが自殺じゃないこと。そして、絞殺でもないこと。」
「ええ、ただ本当の死因は未だに分かっていませんね。」
そうだ。分かっていないのだ。かなり重要なことなのにまだそこに辿り着けない。
「それと、殺害時刻が8時00分から8時15分の間であること。」
「まぁそれも可能性があるってだけですがね。」
「そして最後は録音機能と秘星サンと架束クンの目撃情報から、低い声でコロシアイに向けて対策の意志が強い女性……そして不審な動きをしていた河西サンが怪しいってことかな?」
「そうですね。しかしこんなにも何も分かっていないのに犯人じゃないかと決めつけるのは、河西さんも不便ですね」
まるで、今見ている映画の感想を言うかのように二人は話し続ける。
しかし、正直に言うとそれで整理できた気がした。ムカつくが少し感謝はした。
—今分かっていること—
・大体の殺害時刻(8時00分〜8時15分)
・自殺と絞殺の線は無し
・河西が怪しい