序章 ダチュラの花の咲き始め
次は誰だろう…。
そう思いながら歩く。
しかしこの校庭はやけに広いな…。
ポスッポスッ
それよりさっきから聞こえる優しい打撃音みたいなのはなんだ。
音のする方を見ると
リフティングをしている男子が見えた。
「542…543…544…」
あの〜…何をしてるんですか?
声をかけた瞬間くるりと彼の顔がこちらを向いた!
怖い怖い!反射神経良すぎじゃないか!早すぎだよ!
「ああ、実はキミたちが来る前にさ、みんなに挨拶し終えたから暇で暇で。リフティングしてたんだ!」
暇だからリフティング…。
聞こえた感じだと数がえげつなかった気がするんだけど…。
「あ、俺は超高校級のサッカー選手!伊織蒼汰だ!よろしくな!」
「見た感じからしてサッカー少年だもんな…」
「蒼汰くんは人気サッカー選手だね!よくテレビで見かけるよ!ポジションはミッドフィールダーだ!」
「へーじゃあ中心人物だ」
自然に解説役と化している櫻井にまたもや驚かせられる。
が、この運動好きそうな男子もどこか櫻井と似た明るさを感じる。
お互いの紹介を終え、次の人へと進む。
彼から離れた後も、ボールを蹴る音が聞こえた。