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一章 季節外れのプリムラ【後半】


議論開始——

桐「それで、声が割と低めな女性ってこの中でー」

明「……出口さんと、河西さんかな」

ロ「低いというよりは、落ち着いてて聞いていて心地よい声ですわ!」

櫻「んー、でも二人ともコロシアイ生活に言及したりしている様子は見なかったよっ?」

河「……。」

四「でもさー、よくわからないけどシスターとかだと言及してなくてもやっぱコロシアイは見過ごせないーみたいなのはあるんじゃないの?」

出「わ、わたしじゃな、なか……」

ロ「……シスターだからこそ殺人なんてしませんわ!もう少しお考えになって?」

鑑「そうですね。四津谷様の発言はいささか偏見が過ぎると思います。」

四「そうかぁ……。ごめん、雨祈」

出「……。」

内「あーそしたら、消去法的に河西チャンかなァ〜?」

河「……私が犯人だって言いたいんですか?」

—————————————

河西の顔が少し険しくなったように見えた。まぁ自分が疑われているのだから仕方ない。

河「何を根拠にそんなこと言えるんですか。録音機能なんて……。ハッキリと私の声がした訳ではありません」

白「……でも、そうと思える証拠が他にもあるんだよ。秘星さんから聞いたの」

河「何のことですか?」

秘「時計を所持していた訳じゃないから感覚でしか分からないけどけど、8時から8時10分くらいに君を目撃したんだ。」

河「8時から8時10分……?」

架「その時は俺もそこにいたし、その現場も見たよ。というか秘星さんに見つかって質問攻めされててさ……。疲れたよ。」



ああ……架束も大変だったな。
しかし、一人ではなく二人の証言というのは重要である。
それでも、ただ目撃しただけでは証拠なんぞにならない。
桐谷達が見たのはどんな状況の河西だったのか。

百「たしか……私達がまだ生きている伊織さんを見かけたのが8時丁度くらいのことでした」

四「ああ、それでみんなと落ち合ったのが8時5分だったぜ。なんとなく時計見たから確かだ。」

櫻「そしてすぐ私達一緒に倉庫に行ったよねっ!食堂にある第二校舎から倉庫までは2、3分で行けちゃうから……大体8時10分くらいには倉庫にいたねっ」

ロ「その間に麻央さんと彩さんが河西さんを目撃した訳ですわね。そして、その後の8時15分くらいに息を引き取ってしまわれた蒼太さんを発見しましたわ」

秘「そうなのかい?まぁ私は通りがかっただけだから、タッチの差で君たちとは会えなかったんだね。……となると私の時間感覚は合っていたのかな?」

架「それで話を戻すけど、何を見たって……河西さんが扉のロープ、いや縄を縛っているところだよ。どうして縛ってたのかは分からないけど……。」

百「なるほど、伊織さんがいなくなった後にどうして縄が扉についているのか不思議でしたけど、そういうことだったんですか」

四「でもどうして縄で締める必要があるんだ?」

桐「それについてはまだ説明していなかったね。俺達は伊織の事故の後倉庫に何かないか調べに行ったんだ。」

大「事故後の倉庫の有様があまりにも酷くて、誰かが入ったら怪我してしまうから入れないように縄で縛ったんだよ。」

四「なるほど……じゃあ、蒼太はその縄を解いてわざわざ倉庫に入ったのか……。」

百「『……調べたいことがあってな。放っておいてほしい』って言ってたから、倉庫に目的のものがあったのかも……。」

かなりキツく絞めたから、大変であっただろうによく解けたなと感心する。

秘「そして、その目撃した時間がサッカー選手くんが最後に生きていた時から死に至る時間の間なんだ。しかも、血の跡が残っていた倉庫という場所でね?」

架「怪しくないって言ったら嘘になるよね。」


河「縄が解けていたから、ドアを開けれないようにすることが何か大切なことかと思って縛り直しただけなんですけどね……?それだけで私が怪しいとか、笑わせないでください。」


確かに、これだけの証拠で犯人と決めつけるにはまだ早い気がした。結局、話はそれて死因さえも分かっていないのだ。殺害現場もどこか明確に分かっていないし、殺害時間だって推測の域でしかない。
それに、どこか河西が犯人ではない……そんな気がするのだ。


モ「うーん、時間かかりすぎだよねオマエラ!
ちょっとだけ休憩入れるよ。休廷休廷!」

河西が犯人か、と数人が息巻いているところに休廷という、少しの救いが来た。

この時間の間に少し冷静になれるといいんだが。



ー学級裁判 休廷ー

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