一章 季節外れのプリムラ【後半】
学級裁判開始
「ではでは!ルールを説明するね!」
「ルールは簡単!
学級裁判の結果はオマエラの投票により決まります!正しいクロを指摘できたらクロだけがオシオキ。この生活は続行!正しいクロを指摘できなかったら……クロ以外の全員はオシオキで、クロだけが卒業!晴れて元の生活に戻れます!」
「そんなわけで、クロもクロ以外も頑張ってねー!」
つまり、オレ達は犯人を見つけて何かしらの罰を与えなければいけないのだ。
人を殺したのなら、仕方ないことだが……。
間違えてしまって、無罪であるオレ達が罰されるのだけは論外だ。
「そうそう!みんなに伝え忘れてたね!裁判に行き詰まった時はモノタブの『履歴』を見てね!誰か何を言ったか、裁判の間だけ表示されます!」
「あ、そして本来は調査前に渡すべきだったのですが……学園長がド忘れしてしまい、今渡しますね。『モノゴンファイル①』です。」
そう言われて渡された手帳を開く。
そこには伊織の写真と共に
「被害者=超高校級のサッカー選手 伊織蒼太死体発見現場=井戸
状態=首に縄が巻き付けられており、前頭部には切り傷がある。」
と表記されている。
「今分かっている情報を表示しています。是非裁判にお役立てくださいね。」
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ここで表記を変更致します。
裁判の為、誰が発言しているのか分かりやすくします。
文体は変わりませんが、発言の前に各人物の苗字の頭文字を付け足します。ご理解よろしくお願いします。
モ=モノゴン
一=一郷
大=大原
百=百鬼
秘=秘星
出=出口
ロ=ローゼン
架=架束
桐=桐谷
四=四津谷
白=白石
櫻=櫻井
河=河西
鑑=鑑
儚=儚火
明=明石
内=内沢
さて、議論を開始する前に言弾(コトダマ)を確認致しましょう。
言弾とは、矛盾を論破する為の証拠となります。
—言弾一覧—
【二体の石像】……元学園長か、誰かの石像。倉庫にあったものが何故か倉庫と井戸の間の林の中に横たわっていた。
【赤黒い草】……二体の石像を退かすと、血が滲みたのか赤黒い草があった。
【三角のガラスの破片】……石像の後ろの草むらにあった。赤い液体が少しついている。
【銀色のプラスチックの破片】……石像付近に落ちていた。銀色で傷がついている。
【壊れたモノタブ】……草むらに落ちていた伊織のモノタブ
【入り口のロープ】……桐谷がきつく締めたはずだったのに緩んでいた。
【床の血痕】……引きずられたような痕である。
【シミのついた椅子】……いつのかわからないが赤黒いシミが少し付いている。
【誰かのモノタブ】……椅子の横に置いてあった誰かのモノタブ。ロックがかかっていて誰のか分からない。
【消えた石像】……窓側に二体あったはずの石像が無くなっている。
【開けっ放しの窓】……誰かが換気したのか、石像が元々あった場所の近くの窓が空いていた。
【綺麗な青い紐】……硬い素材でできている。ポリエステルのような気がする。
【同系色の床】……紐と同じ青い床。よく見ないと分からない。
【小さな鉄骨】……下にある石とこの鉄骨でその紐が抑えられていた。女性の力では動かすのは難しいように見える。
【備品リスト】……学園にある備品のリスト。
ここに載っている「木の釣瓶」と「重り」。どこか見覚えがある。
【焼却炉の温度】……手を入れても大丈夫な温度であった。使われたのはしばらく前か?
【謎の金具】……焼却炉の中にあった。備品リストによるとどうやら、木のバケツのものらしい。
【プラスチック製のリモコン】……焼却炉の中にあった。「◁ || ▷」のボタンがついている。
【伊織の遺体】……【前頭部の切り傷】……血で濡れている。
【首の締め跡】……伊織の首に跡が残っている。釣瓶を繋いでいる縄のものだろう。
【銀色の釣瓶】……釣瓶のようには見えない。
【重りのようなもの】だ。欠けている。中には金属が見え、中の方は銀色だが外の方は【黒く変色】している。これはもしかして……?
【血のついた縄】……血がほんの少しついている。これで【伊織の首を締めた】のだろう。
【伊織の遺書】……自分達へとチームメイトへの遺書。どうやら、才能が全てだったようだ。
【伊織のモノタブ】……草むらにあった。録音が残されている。【写真は一枚もない】
【残された録音】……【男女の区別がつかない】ほど音質が悪い。状況的に伊織への発言だろう。【打撃音】も聞こえる。
【明石の音声解析】……明石にモノタブの録音機能の音声解析を頼んだ。
【河西の懐中時計】……伊織の事故当時、河西が図書室で無くしたもの。何故か本棚と壁の間という手の届かない場所に落ちていた。
これらを上手く使って裁判に臨みましょう。
健闘を祈っております。
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