一章 季節外れのプリムラ【後半】
「ひゃっほーーい!念願の裁判場だよ!」
エレベーターのドアが開き、かなりの規模の広場が登場する。
でかいモニターがバンと正面についており、その下にはモノゴンが早くも座っている。その横に教頭が立っている。
そして、入り口とモニターの間には円状に並べられた16個の台がある。
その中でも気になるのは一つの写真が置いてある台だ。
「なんだい?これは遺影?顔にばってんをつけるだなんてとんだ悪趣味だね……!」
「秘星さんはいいとこに目をつけるね!……仲間外れはかわいそうでしょ?」
「せめてもの気遣いですよ」
「ふ、ふざけんしゃんなや!クソトカゲ……ッ!」
「……。」
「おやおや、鑑さんは意外とお口が悪いんですね。ローゼンさんも黙ってないで注意したらいいのに……はぁ。」
こちらが何も言えないからと、モノゴンと一郷……。長いから白黒組とでも呼ぼうか。
白黒組は言いたい放題だ。
「そんなことよりみんな早く自分の席に行きなよ……!席の場所に名前書いてあるからね!ボクって優しい……ウットリ……」
気持ち悪いものを見た気がするが目を逸らし、何とか自分の席に辿り着く。
両隣は秘星と百鬼だった。
百鬼は先程から泣いてばかり。涙で前が見えないのか歩きが遅い。
お前の場所ここだぞ、と何とか誘導すると小さい声で「ありがとう」と聞こえる。
百鬼だけではない。随所から何かを堪えるような声が聞こえたりする。見た目ではわからないが、涙を我慢している人は他にもいるのだろう。
ちょっと時間がかかって、何とか全員が席に着く。
「やっと揃ったよ!全くトロいんだから……」
「まぁ学園長。こんなお通夜状態ですよ。仕方ないじゃありませんか。」
「……そうだね!じゃあルール説明するから全員耳かっぽじって聞くんだよ!」
地獄の幕は既に切って落とされていた。