一章 季節外れのプリムラ【後半】
ー図書室ー
図書室に入る。
この前白石と話した時とあまり変わった様子はない。
だとしたらきっと、懐中時計がある場所はあの時オレが行かなかったところだろう。
探すこと数分、
「あっ!こげなとこにあった!」
出口の声を聞きつけ、そこに行く。
見ると、本棚と壁の隙間に落ちている。
「くっ……取れない!なんでこんなとこに!?」
「落としたにしては、不自然な場所だよね。……よいしょっと」
架束が、受付カウンターに置いてあった長い物差しで懐中時計を引き寄せる。
……オレの努力はなんだったんだ?
河西の懐中時計は橙色だと聞いている。
だとしたら間違いなくこれだろう。
しかし問題は、これが壊れているということだ。
きっと河西が知ったら嘆くことだろう。
渡さないわけにはいかないから渡すが。
「これでまぁ、調べるものは調べたかな。」
ああ、大体関係のありそうなところは調べた。
すると
ピンポンパンポーン
「えー、調査の時間はおしまいとします!皆様第一校舎の一階昇降口前の物置の中へ来てください!……ブツッ」
どうやら、タイムリミットのようだ。
重い足取りで物置へと向かう。
「……なんだか恐ろしか」
「行くしか……ないよ」
それ以降、誰も口を開くことはなかった。
—手に入れた証拠—
【河西の懐中時計】