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序章 ダチュラの花の咲き始め



次に近くにいたのは女子二人、男子一人の三人組だ。
一人の女子は自分達とは身分の違いが見て取れる、煌びやかな格好をしている。
見たところ一人の男子は従者だ。
ではもう一人の聖職者のような女子はどんな関係なんだろうか。

「オレは幸運の大原空。でこっちは探偵の櫻井奈々子。よろしく!」

「自己紹介ですね。お初にお目にかかります。バトラーの鑑魅磨と申します。これから学園生活が始まるようですが、何か不自由があれば、なんなりとお申し付けください。」

従者のように見えた彼は鑑というらしい。

「えーと…バトラー?」

「使用人のことだね!イギリスでは使用人の中では最上級の位なんだよ!」

伊達に探偵はやってないな。櫻井の情報は信頼できるだろう。

「へー、でもすごいな!最上級か〜。オレと同い年くらいなのに」

「それはまぁ、”超高校級”ですからね」

超高校級……よくよく考えるとこの場には超高校級の称号を持つ、超一流達が集まっているのだ。
「すごいな…流石希望ヶ峰学園…なのか?」

い、一応オレだって超高校級の幸運だけどな!


「あら、魅磨。どなたとお話ししているのかしら?」

すると鑑の背後から綺麗な風格をした
女子が顔を出した。

「挨拶に来られた方に自己紹介をしておりました。」

「そうなの。それならわたくしもしなくてはね」

彼女が一歩こちらに近寄る。
一つ一つの仕草に気品があり、多くの人は見惚れてしまうように思わせる。

「皆様ご機嫌よう、わたくしシェリア・マルグラーノ・ローゼンと申しますわ。気軽にシェリアと呼んでください!」

あっ思い出した!
突然櫻井の声が響いた。

「この方は歴史あるローゼン王家の12代女王だよ!齢16にして女王になり、国民にも慕われているって事で一時期日本でも話題になったじゃん!」

「へー、すごいなー。って女王様なの!?なんでそんなすごい人が!?」

思わずローゼンのことをガン見してしまう。
相変わらずニコニコしている顔を見ると、彼女が国民に慕われているという話も嘘ではないだろう。

「交換留学で来ました。今の王の役目は前王に任しているので安心ですわ」

女王様も留学するのか…。
勉強熱心な女王様で素敵だねっ!
学園生活が楽しみですわ!

「あの……わたしも自己紹介ば…」

もう一人の女子が声を上げる。
修道服を着、十字架のネックレスを首にかけている。

「出口雨祈ばい。学園生活も皆で協力できるごてぎばるけんよしなに」

「よろしく…!」

こってこての方言だ!
lets櫻井!
情報を…!

「よろしくねっ!うーん、聞いた感じ九州の方言かな?シスターやってるの?」

聞きたかったことを聞いてくれるとは…!
やるな櫻井!

「わたしのばんばが五島出身ばい。それが移ったけん、なまりが少しキツか…。そう、シスターやっちょるよ」

「五島列島……長崎にあるね!シスターということはカトリックだね!」


カトリックもプロテスタントも、違いが分からないが
出口がキリスト教関係の人ということはオレにも理解できた。

「雨祈さん、一人でいらしたから式が始まるまでお話でもと私からお声がけしたのよ。」

「シェリアお嬢様の留学は交流も兼ねていますからね。」

「ローゼンさんと、話して安心できたかな」


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