一章 季節外れのプリムラ【後半】
気は乗らないが、言うことにも一理ある。
幸いこの場にはアナウンスを聞いて全員が集まっていたので、いない人を呼ぶなどの手間はかからなかった。
こういう時は誰と組もうか…。
少し話しただけだけど、頼りになりそうな櫻井と桐谷にしようか?
二人の方に顔をやると、どうやら既に白石と組んでいるようだった。
仕方ないな。他の人に当たるか。
「ローゼンさん。俺と組まない?」
架束がローゼンに交渉しているところを目にする。
「ごめんなさい。もう魅磨と笑さんと組んでしまって…。」
「そっか。ちょっと仲良くなったつもりだったからよかったらって思ったんだけど…」
「彩さんとは、もっと楽しい時にご一緒したいですわ」
もう一つのグループはどうやら鑑とローゼンと内沢のようだ。
鑑とローゼンの組み合わせは分かるが、何故内沢なのだろう。
「えー私は一人で捜査したいんだけどォ」
「……先程櫻井様がおっしゃった通り、一人はいけません。証拠隠滅する方が出ては困ります。」
「私を疑ってるのォ?酷いなァ〜」
鑑はなんとか落ち着いたらしい。
周りを見れば、案外落ち着いている人が多い。
こんな事が起きても、人間案外すぐに切り替えできるものだな。
「じゃあ架束、俺と一緒に捜査行かない?」
こんな緊急事態に不謹慎かもしれないが、少し仲良くなれたらと思ってしまう。
仲良くなれば、絆も深まり事件も起きないだろう。……今回は起きてしまったが。
「ああ、良いよ。……あと一人必要だね。儚火さんは…?」
架束と最近仲良さそうにしていた儚火を探す。
しかし、儚火はもう三人組を作っていた。
メンバーは儚火と河西、そして明石。
意外すぎる面子だ。
「……同じところで捜査するだけですから。邪魔しないでくださいよ」
「……そちらこそ現場は荒らさないでくれ」
「え、えっと二人とも協力して捜査しません?」
ものすごく険悪なムードだが、フレンドリーな儚火がいることによりなんとかなる……と願いたい。
「……儚火さんは無理か。うーん」
「天にまします父なる…」
ふと耳に何かが聞こえる。
「神様、いつもお守りありがとうございます。今回こんな事態に…」
出口だった。お祈りする時は標準語になるのか…。
「あ、あの出口?まだ一緒に調査する人が決まっていないならオレ達と…。」
「…!?誰!?……架束さんと大原さん。びくった…」
出口は今神様にお祈りをしていたらしい。
主の祈り、というものだ。
「せめて、伊織さんが安らかに昇天でくるっごて……。あまりにも惨かばい」
シスターとして、素晴らしい姿勢だ。
捜査の誘いをすると、心強いね、と引き受けてくれた。
オレは、架束と出口と行動することになった。
そういえばこの二人とはあまり話したことがなかったと思い出した。