一章 季節外れのプリムラ【前半】
内沢と話が終わる。
何気なしに時計を見ると、夕方になっていた。
特にすることもないので部屋に戻る。
部屋に戻り時間を潰すと夕食の時間になる。
食堂に向かうか…。
誰かに話しかけ、夕食が来て、夜時間が来て、寝て、朝が来る。
いつの間にかこれらのことがもうルーティンと化していた。
また、鑑の作る食事が出る。
これは毎日食べても飽きることはなさそうだ。
そして、皆と駄弁りながらそれぞれを口に運ぶ。
もちろん、皆と言っても来ていない人は数人……二人ほどいる。
完食して、自分の使ったお皿を洗うと部屋に戻る。
いつまでこんな生活が続くのだろうか。
部屋に戻る。
ベッドに寝転びなんとなくモノタブの暗い画面を見つめる。
モノタブのチャット機能も電話機能も先日の櫻井からの連絡以外使用していない。
なんだか寂しいな、と思いながらここで自分には何気なしに連絡できるような友人が、別段存在している訳でもなかった。
こんな時に中学の時に仲良かった友人がいたら…。
モノタブを弄り、この機械ではこの学園の同級生にしか連絡できないことを知り悲嘆に暮れた。
結局何もせず怠惰な時間を過ごした。
先ほどのように、夕飯に行っても今まで通り皆は仲良さそうに過ごしている。
その中にはもちろんオレも含まれている。ただ、河西だけは暗い表情で、伊織だけはここにいなくて。
いつか河西もオレ達と仲良く話して、共に食事を取れたらいいのに。いつか伊織も怪我が治って、以前のように一緒の食卓に戻って来ればいいのに。
出会って数日しか経っていないしこんな状況下だが、仲間は仲間なのだ。
どこか、全員ほっとけない。
全員でこの学園を卒業したい。
全員で卒業して、一緒に出かけたりしたい。
きっと、こう大勢のクラスメイトと談笑しながらご飯を食べれる。それこそ青春なのだろう。
しかし、その青春の始まる舞台はなんと劣悪なものか。
彼等と出会ったのがこんな状況の中でなければ。
どうして自分達がこんな生活を送らなければいけない。
コロシアイをすることのメリットはオレ達にあるのか。モノゴン達のただの娯楽扱いをされて
いるだけだ。そんなものなどない。
今の自分の立場を
今日も何も無かった。
それは良いことであるはずだ。
こんな時は何も起きないのが平和なのだ。
しかし、何も起きないと前に進まないのは事実。
もう少し調べれば良かったかな、と後悔をする。
まぁ、明日がある。
明日、調査をすれば良い。
きっと、そう思ってしまうのは
あまりにも自分達が平和ボケしていたからだろう。
「ただ今、夜の10時になりました!夜時間だよ!立入禁止区域もあるから気をつけるんだよ!ウププ!……ブツッ」
校内放送が流れる。今日も1日が終わった。