序章 ダチュラの花の咲き始め
ザワ……ザワ……
校庭へ近づくと複数人の声が聞こえてくる。
「ウワッ寒ッ!」
「ひぇ〜これは寒いね!」
外へ出ると鋭い風が体にぶつかってくる。
今は春のはずなのに。
「とりあえずみんなの元に行こうよ!私達が最後みたいだよっ!」
「あ、ああ」
校庭へ行くと
14人の同年代の男女が集まっていた。
「まじさみー、入学式早くしてくれ」
「目が覚めたらいきなり校庭に来いだなんて…」
「なんだか楽しみ」
様々な声が聞こえてくる。
自分達の他にこんなに人がいたのか……。
しかし、教師のような姿は見当たらない。
呼び出しておいて自分は遅刻のスタイルか。
「とりあえずみんな集まったし、自己紹介しない?」
ざわめきの中、誰が言ったのか前向きな意見が聞こえた。
「そうだねっ!ってごめん!私達まだ自己紹介してなかったっ!」
その言葉で、今までお互いの名前を知らなかったことに気づいた。
「今すればいいだろ。オレは大原空だ。希望ヶ峰学園で超高校級の幸運として呼ばれてたんだけど…」
「奇遇だね!私も超高校級の探偵として呼ばれてたんだよ!あ、私は櫻井奈々子です!桜が難しい方の……貝を二個の方なんだっ!」
改めて、よろしくね!
じゃあ他の人のとこにも一緒に回ろう!
初対面しか集まらないこの場で、
彼女の明るさは気持ち的にも自分を助けてくれるものがある。最初に会ったのが彼女でよかったと、心底感じた。