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一章 季節外れのプリムラ【前半】


ー大原サイドー

さぁさぁみんな!夕餉の時間だ!
鑑シェフのご自慢の料理のお披露目さ!
 
秘星の鶴の一声で全員が食卓に集まる。
今日は伊織も来ているみたいだ。
誰かが付き添って連れてきたのか。
以前よりは少し顔色が良くなっているように思える。
やはり食卓は大勢の方が楽しいな。

「平和に終わった今日に、乾杯!」

今日の鑑特製の料理は中華料理だ。
八宝菜に麻婆豆腐。
餃子に青椒肉絲。
炒飯に湯(中国で言うスープ)。

「あの…。」

気まずそうに河西が口を開く。

「私の懐中時計見ませんでしたか?割と大きめなので分かりやすいと思うんですけど。橙色です。」

やけに焦っているように見える。
大事なモノなのだろうか。

「私の祖父から貰ったモノなんです…」

懐中時計……。見かけていなかった。
残念ながらここにいる人達に
そのありかを知っている人はいなかった。

「そうですか…。もし見かけたら教えてください。」

「了解だ!」

明日から学園を回るとき確認するようにしよう。

その後は皆和気藹々と話しながらご飯を食べた。
あっという間に大皿からご飯が減った。
流石鑑の作るご飯であった。

夕飯を終える。
するとササっと食堂を出ていく
河西の姿が目に入った。
よっぽど急いんでいるのだろう。

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