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一章 季節外れのプリムラ【前半】



ー大原サイドー

倉庫についた。
その惨状は昨日のままだ。
棚は倒れ、辺りは散らかったまんまだ。

「えーと、確かオレの記憶だと花火はこの手前の机の上にあったな」

確認するがそこに花火のセットはない。
人数よりずっと余裕があった花火セット、無くなることはおかしい。

「いや、花火セットここにあったよっ!」

櫻井の言葉に耳を疑った。
見ると確かに、花火セットは
倒れた二つの棚の横の棚にあった。

「大原の言う通り、俺が昨日見た時はここより手前の机にあったけどね…?」

「明石さんが置き間違えたのではありません?」

あの時明石は倉庫の整理をしていた。
起き間違えても仕方ないだろう。

奥まで行って詳しく確認したかったのだが、
足元に刃物や色々なものが落ちており、進むことができなかった。
物的証拠をこの状況では集めることができないので、目に見えるものだけを証拠として今は保存しておくことにした。

「奥に二体の石像が倒れていますね。あちらが話に聞いていたものでしょうか。」

鑑の言う石像とやらは、随分重そうで固そうなものだった。その立派な風貌から見るにこの学園の過去の学園長を象ったのだろうか。よっぽど素晴らしい先生だったのか?二つとも違う顔をしているので学園長と、なんだったのか。近づけないので情報を確認することもできない。

「とりあえず今分かってる情報だけでも十分じゃない?」

これ以上の調査は無理だ。
見えるものだけモノタブのカメラに収め、外に出る。
危険なので立ち入り禁止と書いた紙を倉庫のドアに貼り、ロープで開けれないように取手を結んだ。
きっとこれで次の怪我人は出ないだろう。
結局中が悲惨すぎて事故か事件なのかは判別できなかった。

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