序章 ダチュラの花の咲き始め
突然嵐が来て去っていったよう。
まさに今の状況はそれに当てはまっていた。
憧れの希望ヶ峰学園に来たと思えば
いきなりの人殺しをしろ宣言。
更に、人殺ししなくても殺されるかもしれないのだ。
絶対この人たちはしない!と断言したくてもほとんど全員がお互い初対面なのである。
疑心暗鬼になるのも当たり前のことだ。
「で、でも害獣なんてハッタリかもしれませんよ!」
「確かに、栗花落さんの言う通りかもねっ!まだ落ち込むには早いよ!」
儚火と櫻井の言葉に励まされとりあえず
校門まで行き外を確認してみることにした。
ギイィイイ、ギイィイイ、ドスンッドスンッ
近づくにつれ音がデカくなり、それと共に不快感も増す。
「いい?確認するけど万が一の為に外には出ちゃダメだよっ!」
細心の注意をしながら木々の間を見てみる。
そこには機械のような体をした巨大なモンスターが何匹もいた。
「ギイィイイ!ギイィイイ…!」
鳴き声を発しながらドスンと歩く。
体重もきっと重いのだろう。
突然明石が校庭に落ちていた石を拾い害獣に投げた。
するとそいつは一目散に石の落ちたところへ駆けていき、その場所を執拗に踏みつけたり殴ったりと攻撃を始めた。
もし自分が外に出たら…。
想像するだけで身震いしてしまう。
「……。」
明石は手帳を開き何かを書いている。
「明石、何を書いてるんだ?」
「……。」
話しかけると急いで手帳をしまわれてしまった。脱出の手かがりを探すのなら手伝いたかったのに。
ふと周りを見るとみんなの顔が蒼白になっている。あの櫻井でさえ顔が真っ青だ。
無理もないことだ。
とりあえず自室とやらに行って休むか。
そう踵を返すとまたあの教頭がいた。
「お前っ!なんでそこにいるんだ!」
「驚かしてしまい申し訳ありません。渡しそびれていたものがありまして。」
そう言われて渡されたのはスマホよりでかいタブレットだった。
「そこに皆様の生徒情報、またカメラ、録音機能。そして校則について書かれていますのでご確認よろしくお願いしますね。」
怒りに任せてタブレットを壊してしまいたかったがそうするとどうなってしまうのか
分からないのでやめておいた。
「とりあえず今日はみんな休もうぜ。疲れてるだろ!色々とな…」
伊織のその言葉で今日は解散となった。