このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

序章 ダチュラの花の咲き始め



中心へ向かうと皆話しながら何かを覗き込んでいる。

「どうしたのォ?変なもんでもあったかなァ」

何を何故覗くのか。
その問いかけに桐谷が答えた。

「なんか校庭の真ん中にさ、なんか丸いものが落ちてきたとかで騒いでるんだよ」

丸いもの
石か何かだろうか。

「生憎、詳しく教えたくても私達は話してて落ちてきたところを見ていないから…。」

桐谷の隣にいた白石が教えてくれる。
何が起きたか確認しなければいけない。

「教えてくれてありがとうっ!」


少し駆け足で中心へと向かう。
一体何があるのだ。
好奇心が疼く。

集まった人達の足の向かう先に空間がある。
そこに何かがある。
大勢を押し除けやっと目に入ったものは。

design

クマのぬいぐるみ、それも頭部だけであった。
それは薄汚く汚れており、所々から綿が飛び出ている。
決して可愛いとは思えないその風貌のせいなのか、どこか心を不安にさせる。

「クマのぬいぐるみ……」

「ええ、魅磨と雨祈さんとお話ししていたら突然近くに落ちてきましたわ。一体なんなのでしょう」

第一発見者はローゼンと鑑、出口の三人だ。
一体なんなのだろう。

「お嬢様、何が仕組まれているか分かりません。危険ですのであまりお近づきにならないでください。」

「はぁ…突然のことたい。あっぱよー…(びっくりした)」

鑑の言うことは最もだ。何か危険なものが入っていたりするかもしれない。
警戒して当たり前だ。



「これは…すみません。外の獣供が暴れないように与えておいたのですが…。」


突然背後から声が聞こえた。
今まで挨拶してきた人達の声ではない。
どこか掴みどころのない、淡々とした声だった。

12/16ページ
スキ