序章 ダチュラの花の咲き始め
「ねえねぇ、自己紹介まだだよねェ?」
いきなり声をかけられ肩が跳ねる。
「びびびっくりした…。気配が全く無かったから」
「うんっ!まだだねっ!初めましての人だよ、空くん」
振り向くと、そこには金髪に赤いカチューシャをした少女がいた。
ニコニコ笑うその姿は、先程とは違い話しやすい人だと思える。
「ど〜も、私は超高校級の???、内沢笑だよォ〜」
「あ、オレは幸運の大原空だ。そして横にいるポニテが探偵の櫻井奈々子」
名前より気になることがあった。
しかし事情があるのだろう。
聞いてもいいものなのか。
「ねえ!どうして才能を隠しているの?」
櫻井は探偵だから探究心に素直なのか、ズバッと聞いた。
「才能?ふふ、それは秘密だよォ!秘密がある方がドキドキするからねェ?」
そういうものなのだろうか。
人によって違うだろうけど。
そういうものなのだろうか。
「あ〜見た感じみんなそれぞれ挨拶が終わったみたいだねェ〜」
内沢の言葉でハッとし、周りを見渡すと先程までバラバラであった大勢が校庭の中心へと向かっている。
「なんであそこへ向かうんだ?」
「うーん、中心に何かあるのかもしれないねっ!行ってみよう!」