序章 ダチュラの花の咲き始め
なんだか変な人もいるんだな。
次はもっと話しやすい人だといいんだけど。
そんなことを櫻井と話しながら進むと
兎小屋の前に誰かいるのが見えた。
「あ、あの。オレは大原空。超高校級の幸運なんだ。」
「私は櫻井奈々子だよっ!探偵なんだ!」
声をかけると黄緑の髪をした少女がこちらに顔を見せてくれた。
「……。」
「ま、また無視する人!?」
「えーっとアナタは?」
明らかに彼女の顔が嫌そうな顔に変わったのが分かった。
「……はぁ。どうも。超高校級の書家、河西櫻子です」
「あー!私も名前に櫻が入ってるの!お揃いだ!仲良くなれそう!」
つんけんした態度の相手にも明るく接する櫻井に感心する。が、河西には意味もなく
「ハッ、それがどうして私とアンタが仲良くなる理由になるんですかね」
「えっと…ほら類似性の法則…とか!」
河西はそんな心理学に易々引っかかる私じゃないとでも言うかのようにため息をついた。
あー、またクセのある人間だ。
でもいつか仲良くなるといいね。
そんなことを言ったらまた呆れられそうだから胸の奥にしまっておいた。