序章 ダチュラの花の咲き始め
視界の隅に紫色の何かが見えた。
視線をそちらにやると、紫色の何かは人の頭だと分かった。
「オレは大原空、超高校級の幸運。お前は…」
「……。」
紫の男に自分の声は聞こえなかったのだろうか。
「オレは大原空、超高校級の幸運。おま…」
「
人の紹介を遮るなんて酷い男だ。
コミュ力の欠片も無いのだろう。
「私は櫻井奈々子だよっ!よろしくね!」
「……。」
櫻井が声をかけても何も反応しない。
無愛想にも程がある。
「無視はよくないぞ!?」
「……。」
これ以上この人に何を言っても無駄なのだろう。
オレ達は仕方なくこの場を去った。